大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 古代

基層説、基層理論(substratum theory)

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私:飛騨方言というか、日本語っていったいどうやって形成されたのか、出版物は随分、多い。
君:古代日本語については何も書物が無いから研究も大変よね。
私:言いたい放題という事だ。
君:それはあなた。
私:いや、僕はアマチュア。何も研究していない。学んでいるだけ。今日は基層説をご紹介しよう。
君:簡単にお願いね。
私:うん。日本列島はそもそもがユーラシア大陸の一部だった。ちぎれて島となった。この時に動植物が取り残され日本の原始生態系を作った。北アルプスのライチョウ(岐阜県の県鳥)が実はそうなんだ。ただし、そこにヒト、つまり自分達日本人の一番のご先祖様はいなかった。
君:どうして?
私:日本が島になったのが二千万年前。アフリカで誕生した人類が全世界に散らばっていったのが六百万年前。日本にある最古の人類遺跡が三万年前らしい。つまりは地球62億年の歴史から考えると、三万年前の遺跡もつい昨日の事という訳。縄文・弥生時代というのはつい先ほどという訳だ。つまりは立派に日本列島として出来上がった未開の島にヒトが移り住んできたというわけ。
君:なるほど、南西諸島経由、朝鮮半島経由、あるいは樺太経由でヒトが舟で渡ってきたのね。
私:いや、現在は第四間氷期、つまりは氷河の無い時代だが、最終氷期は一万年前、この時、奇跡がおきた。ベーリング海が凍ってロシアとアラスカが地続きのようになり、人類史上初めて人類が北米大陸に進出した。つまりテクテク歩いて移動したんだ。だから当時は日本海ではなく日本湖。日本も同様に氷に覆われた対馬海峡や間宮海峡を渡ってきたのだろう。但し氷期でも津軽海峡は凍らなかったし、南西諸島にはケラマギャップという海峡があったが、両海峡とも太古の日本人は自由に行き来していたと考えられている。
君:なるほどね。
私:ところが縄文時代の飛騨、というか日本は今より暑かったんだよ。海の氷はあとかたもなく消えて無くなった。大陸と引き離され独りぼっちの日本人。これが我々のご先祖。
君:しかも文字文化が無かったのでルーツがわからないのね。
私:南から、東から、北から、あちこちから来たのだろう。ユーラシア諸言語と日本語の近似性に着目し、日本語をアルタイ語族とするのが常識的な見方。そこで出てくるのが基層説、基層理論。
君:どういう事?
私:逆に質問、ださい言葉とかっこいい言葉があるとすれば、生き残るのはどちらの言葉か?
君:簡単だわ。ひっかけ問題とすればださい言葉、素直な問題とすればかっこいい言葉、何れかが答え。
私:なるほど。左七は素直に質問した。つまり、答えはかっこいい言葉。古代日本語でも同じような事が起きたのでは、というのが基層説、基層理論。
君:つまりはアジア諸民族が諸言語を日本に持ってきた。諸言語をいいとこどりして徐々に古代日本語が出来上がったというわけね。
私:まあ、そんなところだ。一番に最初に日本語の基となったのが基層語という訳だ。取り留めのない話ではいけない。.倭語(和語)をもって基層語とするのが確実な考え。それ以上の古い事はわからない、というのが正確な解答。.倭語(和語)が出来て、漢語がかぶさり、明治に外来語がどどっとかぶさり、敗戦後はこれでもかというほど英語がかぶさってきたのが日本語のヒストリー。つまりは基層理論はポスト・ウォーのジャパニーズランゲッジのトレンドにもアプライポッシブルなセオリー。この言い方、かっこええやろ!
君:面白そう。文献があるかしら?
私:例えばここここ。先ほどはちょいと斜め読みさせていただいた。まだ頭の中でこなれていない。
君:・・服部四郎のお名前が。
私:元祖・基層説論者、学問の神様みたいなおかただね。東大教授。アジアの諸言語を現地に赴き生涯、調べ続け、挙句がタタール人女性と結婚なさった。波乱万丈の人生。左七という男がちっちゃい人間に見えてしまう。
君:卑下する事ないわよ。人それぞれの人生。一人の女性を幸せにしたという点では同じよ。ほほほ

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