大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

戦後強くなったパンストと飛騨方言

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私:その時代の流行語というものがありまして、戦後強くなったもの・パンストと女性、なんて言われていた事がありました。
若者:えっ、戦前からパンストがあったのでしょうか。戦後に女性が強くなったのは参政権などの事ですね。
私:パンストが強くなったのはナイロンの発明。脱線しました。戦後に強くなった飛騨方言って、どんな意味でしょうか?
若者:ふーむ、やはり女性に関係しますか。
私:その通り。では、答えですが、びー、です。
若者:女子の意味でしょ。男子は、ぼー。女の子だから弱い。だから、強くなった、という事が反対のような気がして、おっしゃる事がいまいちなんですが。
私:ははは、いいぞ。では、びー、といえば、弱い、以外にどんなイメージがある?
若者:そりゃあ、かわいいとか、おちゃめとか、ビーナスとか。
私:そうそう、その通り。飛騨の女の子で、びー、って言われていやな思いをする子っているかな?
若者:いませんね。ぼー、って言われたらショックでしょうね。びー、って言われたほうがいいにきまっています。
私:そうだよね。でも昔は、戦前は、あるいは江戸時代はそうじゃなかったんだ。びー、は今は愛称。その昔は蔑称だったのです。
若者:ええっ、そうですかあ。そりゃ意味が全く反対じゃないですか。
私:そう、反対です。びー、の語源は、ひ・卑。いやしい子が生まれたという意味です。飛騨がいかにかつては男尊女卑がひどかったかという事ですね。
若者:ふーん、でも昔は飛騨以外もそうだったんでしょ。
私:おっしゃる通り。だから、ひ・卑、は名前を変えて全国の方言になっています。びった、びったれ、等々。今でも蔑称で使われている所があるそうですよ。若者:なるほど、説明は納得しやすい。飛騨ではびー、は悪い言葉じゃなくて、女性が大変に大事にされているって意味やったんや。びー、は、美、かと思ってました。
私:方言事件という言葉があります。当サイトの同音異義語の飛騨方言事件もご参考までに。
若者:方言事件とは具体的には。
私:九州でしたかね、老夫婦が口喧嘩をした、夫が妻に、このびったれ!とののしったのです。ここまではよし。がしかし、妻は、その言葉だけは許せない、と叫ぶや夫を殴った。殴られた夫は危篤となり、妻は書類送検されたのです。飛騨では、夫が妻に、びー、と言えば、妻はよろこぶのじゃないかな。
若者:きまっていますね。若くて美しいという意味にとっていただけましょう。

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