豆腐に接頭語・湯、がつくと湯豆腐・ゆどうふ、と読みます。これが連濁です。
飛騨人は必ず、ひだびと、と読み、ひだひと、とは言いませんね。
どうもこの連濁の規則が守られなくなっているのが
最近の飛騨方言の傾向ではないでしょうか。
当サイトは方言サイトゆえ、最近の若者の言葉使いの乱れ、というような
国語学の教条的なトピックスは一切あつかいません。
あくまでも飛騨方言の語彙に限って議論しましょう。
といってもパッと思いつく言葉はたった三つだけど。
私の町には二つもの名物方言グッズがあるんですよ。
ひとつが、こやなじょうけ。もうひとつは、うとじゃくし。
大西村のお隣、小屋名村で作られる台所用品・ざる、の一種に、
しょうけ、があります。語源はどうも升受けのようです。
うと・有道、の部落は既に無人となっていますが、その昔は
有道の杓子が名産品として作られていたのです。
ですから、こやなじょうけ・うとじゃくし、共に
生産地名が付くこの名前に佐七はしびれます。
何せ地名、しかも町内ですから。
さてネット情報に限りますが、実は、こやなしょうけ・うとしゃくし、との記載が
相当数に上ります。
私としては連濁するのが当たり前だと思っていた言葉ですが、
連濁せずに読むのはおそらく若い世代の言い方なのでしょうか。
それにネット記事をせっせとアップロードする、つまりはサーバー管理者は若い世代
に決まってますって。
そしてしょうけ・しゃくしを作る古老、あるいは使う老婆は、
こやなじょうけ・うとじゃくし、と連濁して話しているに
決まってます。自信あり。
さて飛騨の名物料理といえば、こもどうふ。
おおごっつぉ(大御馳走)やさ。然しながら、こもとうふ、という
ネット情報があるのですよね。
ネット情報だから若い人がアップロードしているに決まっています。
飛騨の古老・老婆は絶対にアップロードなんかせんぞなあ。
しゃみしゃっきり。
おまけ 飛騨方言で台所をこととわば
濁音オンパレードの飛騨の古老・老婆曰く
こやなじょうけ・うとじゃくし・こもどうふ、じゃぜな。
濁音を嫌う現代の飛騨の若者曰く
こやなしょうけ・うとしゃくし・こもとうふ、かなあ。
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