先ほどですが、岐阜県でも南部、つまりは岐阜市あたりの語彙・アクセントを紹介する動画を発見しました。方言学という学問は話してなんぼを対象とする学問ですから、このような生の情報は本当に勉強になりますね。
岐阜の方言/岐阜弁 今川雅仁様チャンネル
全国の皆様へ、ひと言で岐阜方言といっても江戸時代までは美濃の国・飛騨の国といって二つの国だったわけですから共通点が圧倒的に多いのですが、それでも明らかに異なる点もあるのです。動画は美濃の中心・岐阜市あたりで話される語彙・アクセントの情報ですが、私は生まれも育ちも飛騨の中心・高山市で、典型的な高山方言の話者です。この動画を観ますと、細かいところでは語彙の違いが多々、あるのですが、この際は全て、目を瞑り(つぶり)ましょう。七割ほどは共通語彙でした。ざっくぱらんにほとんど同じといってもよいでしょう。
今回、問題としたいのはアクセントです。高山方言の話者の私がこの動画を聴きますと今川雅仁様のアクセントと明らかに異なる語彙が幾つかあり、それを下に書きだしました。十一個でした。表にあるのは岐阜市のアクセントと高山市のアクセントにおける、それぞれのアクセントの滝(=急に下がる部位)の位置です。
結論としましては岐阜市のアクセントも高山市のアクセントも東京式中輪式にほぼ一致しますが、岐阜市のアクセントがやや京阪式内輪に近い、という事が言えそうです。ざあっと一回の聞き取りだけでしたが、間違いはないと思います。ひとつひとつの語彙について岐阜と高山のアクセントの違いを考察するとこれだけで一か月は持ちそうです。思わぬ飯のタネが発見出来て、素直にうれしい気分です。今川雅仁様、貴重な音声を上梓してくださいまして、本当にありがとうございました。
動画の語彙 岐 高
阜 山
あんばよう・・・・ ば よ
ぎょうさん・・・・ ん ぎ
たんと・・・・・・ と た
おれんたー・・・・ た れ
つんどく・・・・・ く ど
じょり・・・・・・ じ り
ぞり・・・・・・・ ぞ り
いっつもそんこく・ こ そ
かど・・・・・・・ ど か
でーこ・・・・・・ こ で
えんど・・・・・・ ど え
蛇足になりますが、語彙について一言、トウモロコシの語彙を岐阜市では、こうらい高麗、というのでしたっけ。高山市では、とうな唐粟、です。室町時時代に日本に入ってきたトウモロコシ、これを表す方言は全国でざっと140種類ほどあり、その方言量は食物語彙のなかでは断トツ一位です。これについては過去に何度も当サイトに上梓していますが、今回もつい。