博多方言・こげ、について別稿にお書きしましたが、
ついでと言う事で、大阪方言・こない、についてフト
思った事を。
どないもこないもあらしまへん、と言っても
日本人の誰にでも通じるでしょう。さて、
こない、の語源は何でしょう。
ネット情報もなし、方言学の専門書に記載もなし、
飛騨の佐七が考えるしかありません。
つまりは、こない、とは、近称・これの短呼化+格助詞・な+
体言・い、という事、
体言・い、とはズバリ、意、という事でしょう。
つまり、こない、とは、こんな意味、こんな意図、という言葉が
詰まってできたという事でしょうか。
例え民間語源と言われてもよい、何事も佐七は思い込んだら命がけです。
意味、用法からはドンピシャリでしょう。
それでも少しは真面目な考察もしましょう。
さて、古語辞典には、い・意、が近世語で出てきます。
歌舞伎の言葉です。江戸時代には既に、大阪方言で、こない、
と話されていたのかも知れませんね。
次いで、日葡辞書です。こない、は実は記載されていません。
此の、Cono-、という品詞は多く記載されています。
ところで日葡辞書とは安土桃山時代の畿内方言およそ三万語を
記載したポルトガル辞書です。
こうなると、佐七の考えは確信に変わります。
大阪方言・こない、の語源は、こんな意、で
江戸時代の歌舞伎の言葉から来た言葉なのでしょう。
以上が前置きでした。ここは飛騨方言サイト、ふふふ。
飛騨方言では、こんなような、という意味で、こんなやな、
と言いますね、更に訛って、こんないな、と言う事もあるでしょう。
これを大阪方言では、こないな、と言うのです。
がしかし、関連性は無いでしょう。
アクセントから明らかです。
飛騨方言は、こんないな○●▼○●、大阪方言は、こないな○●●●。
このアクセントの違いの意味する所は大きい。
飛騨方言の母語は、こんなような○●●▼○●、でしょうね。
なよう・な様、から、ない、に変化したのでしょう。
勿論、平板・こんな○●●+体言よう▼○、という訳です。
やはり音韻からも、ドンピシャリですね。
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