大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ピッチアクセントの飛騨方言

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私:もうすぐ一歳のあなたのお孫さん、お元気ですか。
君:ありがとうございます。元気よ。急速に日本語を覚えているわ。私は暇にまかせて語彙を数えているわ。といっても数語よね。
私:ははは。正常な発育ですね。末頼もしいですね。実は私も、最初に我が愛娘が話した日本語は覚えています。
君:えっ!!センテンスなの。
私:そうです。センテンス、まんま・ほーしーと言ったのです。
君:飛騨方言じゃない!ごはんが欲しい。
私:そうです。といっても・・・
親まんまほしい?
娘まんま・ほーしー。
親まんまほしい?!
娘まんま・ほーしー!!
それでもちゃんと日本語の会話になっていましたね、ふふふ。
君:VOの構文よね。これはセンテンスよね。
私:ですから、あなたもその調子でやってみてね。ところで今日の話題はピッチアクセントです。
君:なんとなくわかりますが、全国の皆様に簡単にご説明くださいませ。
私:勿論。ピッチというのは高低、つまり日本語という言語のアクセントの特徴そのものです。また日本人にとって最も身近な外国語・英語ですがこれはストレスアクセント、つまり音の強弱です。
君:日本語は高低、英語は強弱、全く別のアクセントが用いられていると言う事ね。
私:割り切っていえばね。ただし、日本語とて言葉に強弱はあるし、英語とて言葉に高低はある。しかしながら決定的なのは、日本語では高低に意味があり強弱はそれを修飾するだけです。英語はその逆です。両言語の溝は余りにも深く埋めようがありません。
君:・・・そうね。なるほどその通りね。日本人が英語を話すと英米人にはおかしな風でしょうし、また英米人の片言日本語は日本人には奇異ですものね。
私:ただしくどいようだが、日本語とてストレスアクセントは使っているし、英語だって強調する言葉はピッチが高くなるから結構、スイッチヒッターが出来るのかも知れませんね。
君:丸ごと覚えれば、いくつかのセンテンスなら使えるようになる、という事でしょうね。
私:You said it ! 私がすっと出てくる英語って丸ごと覚えた言葉だけなんですよ。
君:日本人は、考えた事を英語で話す事はできるが日本人だからこそ、英語で考えつつ、英語で話すのはしんどい仕事という事ね。
私:ピッチだのストレスだの、人間はいちいち考えながら言葉を発していないでしょう。
君:そうね。
私:でもねえ、ピッチアクセントしか理解できない日本人が英語のストレスアクセントをマスターするって結構、難しいと思いませんか。
君:英米人はどうでしょう。ピッチは簡単、ストレスは難しいのかしらねえ。
私:まさにそう思います。私のお付き合いは米国人ばかりですがトヨタという単語等々、ピッチの違いを教えてあげるとすぐにマスターしてくれます。
君:中学校で英語を習い始める日本人はストレスアクセントをマスターしているかしらねえ。
私:おっしゃる通りです。してるわけ無いでしょうねえ。教師すら。私は67歳になりますが実はこの年まで勘違いをしていました。一般論ですが日本人はピッチアクセントしか理解できません。大半の日本人はピッチアクセントを用いて英語のストレスアクセントをマスターしているつもりになっているようです。
君:ふむ。例えばsu'bject と subje'ect。ピッチとストレスは連動しているものねえ、ほほほ。
私:そうなんですよ。微妙なだけに怖いですね。
君:ほほほ、あなたらしくないわ。発音なんか滅茶苦茶でも通じさえすればよい、要は会話の中身だ、なんていってらしたくせに。本当はエレガントな英語をしゃべりたい?
私:そうだね。やはり発音は美しいに限るなあ。
君:ほほほ、となれば物書きがいいわよ。あなたには物書きが一番似合っている。Speech is silver, but silence is gold.
私:ところで、ここは飛騨方言のサイト・お題はまんま・ほしい、という事で許してね。
君:そしてその後、ほしんやさ、を覚えたという事で完璧だったのにね。でもあなたは何故かその言葉を娘に教えなかった。その心やいかに。

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