大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

アクセントの類別語彙

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僕:僕なんか飛騨方言話者で、自称「なんちゃって東京語」話者だが、ニュースを聞いていたりして家内と二人、あっと顔を見合わせる事がある。
君:方言のサイトの話題作りという事は、方言にまつわるニュースを知って、という事ではなく、アナウンサーのアクセントについて、という事ね。
僕:そうなんだが、その前に。私は生まれも育ちも飛騨高山、家内は生まれも育ちも名古屋駅のそば。つまりは夫婦はギア方言(岐阜・愛知方言)の話者なので、お互いが夫婦はアクセントが一致するし、自分たちは共通語アクセントを話す夫婦だと信じ込んでいるので、つまりはNHKアクセントにびっくりして、天下のNHKがアクセントを間違えちゃ駄目だよね、という瞬間的な発想が生まれるんだ。
君:ほほほ、だから、あっと顔を見合わせる、という訳ね。
僕:うん。食事の後に僕はアクセント辞典を見て、ニュースのアクセントが正しい、という事を家内に伝える。
君:あっと顔を見合わせる瞬間に、なんだ自分たちは間違っていたのか、と思えばいいじゃない。そうすれば辞典を調べる手間が省けるわ。
僕:どうも夫婦は人間が出来ていないという事。NHKアナウンサーだって若しかして間違える事があるかも、と考えちゃうんだよ。蛇足ながら、家内と私がアクセントが異なる事は無い。
君:その事を大西佐七さんご夫婦のお二人は類別語彙表がピタリと合っていると表現するのね。
僕:その通り。夫婦に育てられた二人の娘達の類別語彙表も同じだ。つまりは一家全員の類別語彙表が同じ。さて語彙というからには日本語の言葉全てを意味する。つまりはアクセントの類別語彙とは日本語の全ての語彙をアクセントで分類すると、という意味だ。平均的な日本人でも数十万の語彙を持っているだろう。NHK日本語発音アクセント辞典には七万個五千の語彙が収録されている。どれも日常的なありふれた言葉ばかりだ。でも、これらの語彙をアクセントで分類する事は可能だ。
君:まずは一拍の単語ね。イロハ48文字しかないから簡単だわ。しかも全てが名詞。
僕:その通り。しかも一拍名詞は更にアクセントで分類できる。
君:有核(頭高)か無核(平板)の二分類ね。
僕:いや、それでは面白くないという事で更に「京都式か東京式か」で分けるんだ。
君:「有核・無核」か「東京・京都」だと四種類かしら。
僕:実は東京式・京都式で共に無核の一拍名詞というのは存在しない。面白い事に東京式・京都式で共に有核の名詞も存在しない。
君:東京と京都、とちらかが有核なら他方は無核、となれば二種類という意味ね。
僕:いや、面白い事に京都式には平進式アクセントがある。つまり格助詞「が」に接続さても下がらない名詞。
君:つまりは一拍名詞は東京式・京都式で類別すると三つの群に類別できるわね。
僕:その通り。★京都式の平進式一拍名詞、★京都式で有核・東京式で無核の一拍名詞、★京都式で無核・東京式で有核の一拍名詞。数学の場合分け問題と異なり、アクセント分類はそれより少なくなる。それが日本語。
君:続いては二拍の品詞ね。途端に数は増えるわよ。
僕:その通り。数学的に考えよう。イロハ48の音韻二個の組み合わせは48の二乗で途端に二百以上のになる。話がややこしくなるから名詞だけで行こう。これ等のアクセントパターンは幾つになるだろう。これが類別語彙。二拍だと頭高、尾高、平板、に加える事に京都式の平進式が加わるから場合分けは幾つになると思う?
君:まずは京都式の平進式の場合ね。相手方の東京式は頭高、尾高、平板の何れでもよいとなると、つまりは三通りかしら。
僕:いや、面白い事に京都式平進式二拍名詞は東京式では必ず平板型なんだ。
君:あらそうなの。じゃあ残りの場合分けとしては京都式・東京式共に頭高、尾高、平板の三通り、つまりは数学的には3の二乗で9通りかしら。
僕:いや、面白い事に、京都式で高ければ東京式で低い、逆に京都式で低ければ東京式で高い、という一般傾向があり、実際には4通りしかない。国語は数学ではない。つまりは二拍名詞は合計5分類出来る事が分かっている。ここが国語の面白いところ。
君:つまりは若しかして三拍になってもそんなに類別は多くならないわね。
僕:いや、面白い事に・・しまった、言い間違え、そう、面白い事に京都式平進式三拍名詞は東京式では必ず平板型なんだ。
君:若しかして拍数に関係なく京都式平進式の名詞は東京式では平板型になるのかしら。
僕:京都平進式ともだち●●●●は東京平板ともだち○●●●だね。
君:という事は。
僕:眠くなってきた。今夜はここまで。お休み。
君:ほほほ、なんとか 5/5 まで来たわね。お休みなさい。

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