小学館日本方言辞典のコラム記事に、方言の調査法、がありました。
三つあります。
(1)隣地調査法、現地で直接観察・記録。
(2)通信調査法、郵便などによるアンケート。
(3)文献調査法、既に現代方言から消えてしまった
過去の方言について古文書や地誌からの調査。
さて筆者による隣地調査法ですが、帰省してあれこれ人と話していると、
今まで当サイトに記述していなかった単語が耳に飛び込んできてドキッと
する事があります。
勿論すかさずメモするわけですが、
それでも私が瞬時に思う事はその単語の語源となると、
続く会話がもう上の空などと言う事がありますね。
お別れしてから三日三晩考える事もなきにしもあらず。
また故郷の父母と電話すると方言が再発見される事もあり、
電話は遠隔隣地調査法とでも命名すべきでしょう。
通信調査法は今の所、何もやっていません。
故郷の同級生全員に手紙を書いても、
おそらく回答はゼロでしょうね。
"わりゃ(=君は)よっぽど暇やなあ。
おりゃはや(=僕はすでに)小学校の校歌も飛騨方言も忘れてまったさ。"
という回答をもらう可能性も無きにしもあらず。
それでも電子メールをいただいた事がありました。
有難い限りです。この場を借りて御礼申し上げます。
文献調査法ですが、筆者の手元に出身の久々野町の郷土史が数冊あり、
しかもワンセットで方言が記載されていて、
聞いた事のない言葉も含まれるものですから、有難い限りです。
大半の方は郷土史に記載される少しばかりの方言など
つまらない記事とお受け止めなさいましょうか。
でも私にはこれが何とも魅力的すぎる情報なのです。
方言にのめり込むと恋人からの手紙にも似た気持ちですね、ははは。
さて以上が小学館様記事に関連してですが、
実は同社は大切な事をお忘れです。
つまりネット世界における莫大な文字情報が筆者にとっては
最大かつ最重要な情報源です。第四の方言調査法です。
グーグル社に真摯に深謝いたします。
同社の検索サービス無しには筆者の原稿は一本も書けなかった、と
極論できましょう。
実は私が行っているのはインターネットの実験なのです。
ネット世界をひとつの方言用例辞典と見立てる極めて新しいジャンルです。
ほんの一例ですが、飛騨方言をキーワードにおよそ約五万件ヒットします。すべて研究対象です。個人サイトあり、公的サイトあり、個人のブログ、チャット、およそありとあらゆる文字情報の大洪水状態。私はネット検索しながらそれを眺めています。そして気付いた事を記載します。
私の行いは表面上はネットのお遊びです。
然しながら例えば上記の飛騨方言の文例ですが、第二人称を、わり、と表記する飛騨からのネット情報など枚挙にいとま無し、です。
つまり、わり、は過去にも現在でも飛騨方言であると断言できます。
私はコンピュータを駆使しても判らない事は記載していません。
それを駆使したからこそ判った事を記載しているのです。
ネット世界で日々変化していく飛騨方言、皆様もいかが?おもしろいぜな。
柳田國男の知らなかった世界です。
氏は感激なさるはずです。
これに付随して蜩c先生へ、第五の方法として自身を対象とする場合は、内省、という言葉も用いられますね。飛騨方言を母語とする私の前頭葉には飛騨方言の記憶の粒が刻まれています。幼少期の記憶の粒は消えにくい、というのはありがたい事です。
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