大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

女ことばはどこへ消えたか?

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私:同名の文庫本がある。光文社新書、小林千草女史著。いやあ、面白いよ。
君:消えた女ことばとは、・・・国語の語彙史ね。
私:ははは、するどいな。江戸時代から現代までを網羅している。女房ことば、つまり室町時代等についても書かれている。後は読んでのお楽しみ。
君:では本題、早速に飛騨方言のお話ね。
私:ええ。といっても方言文末詞のお話だけだ。古語のお話ではなく現代口語・つまり国語のお話だから。
君:なるほど、でも方言は廃れつつあるわ。文末詞は使われなくなりつつある。言い方の性差はなくなりつつある、という事よね。
私:その通り。戦前までの男尊女卑の飛騨方言では厳密に男ことば・女ことばが語られていたという事だ。
君:男は、〜やぞ。女は、〜やえな。
私:そう。でも最近は男女ともに、〜やさ、になっていないか。
君:観光客の方々に、飛騨の男性が、〜やぞ、と言って御商売なさる事はないわよね。ぶっきらぼうすぎて使っちゃまずい、とお感しなさるでしょう。
私:ふふふ、うまいね。飛騨の男ことばもどこへ消えたか?
君:飛騨の男性同士でも男ことばは使われなくなりつつあるわよね。
私:男女同権思想の影響だね。今、英語の世界がひどいものでしょ。チェアマンといっちゃいけない。女の教授ははたして Professor の綴りでよいのか、などという議論がある。
君:それはまたの機会に。今日は飛騨方言に限ってのお話でお願いね。
私:失礼、いずれ消滅してしまう飛騨方言の女ことばだが、最後に残るのはなにかな?
君:・・ふーむ・・、女子を意味する愛称・びー、かしら。
私:かもね。いや、僕は動詞の命令形だと思うな。
君:命令形って。
私:飛騨方言には、男子には動詞命令形があるが、実は女子には動詞命令形が無い。あるのは勧誘の表現・〜しないよ、のみだ。しなさいよ、が詰まった言葉。
君:なるほど、飛騨の女ことばには動詞命令形が無い。つまり、無いものは消えようがない。あなたらしい結論ね。傑作だわよ。ほほほ

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