大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学

上位語・下位語

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私:表題の文法語彙だが、方言学の成書でも使われていたので、今夜はこの学術語のお話を。国語学会編・国語学大辞典、日本文法学会編・日本語文法辞典に共に記載されている。
君:皆様にまずはご説明を。
私:ほいきた。語と語の意味関係を分類する用語。カラス・スズメ・ハト、これらはトリという。この場合、トリはカラス・スズメ・ハトなどの語彙に対し上位語 hypernym であり、カラスはトリの下位語 hyponym である、という。
君:ほほほ、同位語という言葉もあるわよ。
私:うん。下位語同士、つまりはカラス・スズメ・ハトは包含関係が無く、カラスとスズメ、スズメとハト、ハトとカラス、これ等は皆、同位語ないし共下位語と言う。
君:平凡なお話ね。
私:英語をカタカナ読みすると上位語「ハ\イパニム」、下位語「ハ\イポニム」とでも発音しておけばいいだろう。「パ」と「ポ」で大違いだが、肝心な部分にアクセントの核がない。
君:・・あなた、そんなことを書きたくて、今日の話題を選んだのじゃないでしょ。
私:・・ははは、ばれたか。
君:つまりは国文法なのに英語直訳の学術語とは何事ですか、とでもおっしゃりたいのね。
私:その通り。おやめいただきたい。ちなみに僕は国語学会には所属していない。フロアーからの一市民の意見という事で。
君:何が不満なの?
私:ははは、待っていたぞ、そのお言葉。さて、日本語の大切な文法を一言で表すと何?
君:それって、あなた、数日前に書いていたわね、係助詞「は」と格助詞「が」の話題で。つまりは「日本語は語順がすべて」。
私:その通り。日本語において倒置法は極めてまれで、修飾語は必ず被修飾語の前に付く。
君:修飾・被修飾の関係ね。ははあ、下位語は必ず上位語の前に付くのね。つまりはカラスというのはカラスドリの事、スズメというのはスズメドリという事。
私:そして日本が世界に誇る文字文化が右縦書き文化。縦書きWeb普及委員会
君:世の中には変わったおかたがいらっしゃるのね。
私:縦書きのワープロも世に出ている。【小説向け】無料のおすすめ縦書きエディタ・アプリ11選【フリーソフト】、おひとついかが?
君:要は縦書きにすると下位語が上に、上位語が下にきちゃうのね。
私:そうなんだ。国語学者様へ、英語の直訳はやめてくれ。
君:批判なら誰でもできるわよ。
私:もうひとつ言いたいことがある。
君:えっ、まだなにか。
私:上流階級と中流階級、これに包摂関係があるかい。ないだろ。
君:そうね。上下というのはそもそもが包摂関係ではないのね。
私:その通り。高血圧を hypertension という。低血圧を hypotension という。血圧の病気という意味では実は同位語だ。
君:それは単なる事例。
私:hyper はギリシャ語で over, above, excessive 等の意味。上位語・下位語の場合は over だね。つまりは hypernym/hyponym の意味するところは全体語・部分語という事。総括語・各論語、包括語・被包括語、統合語・分離語、一般語・特殊語、広義語・狭義語、等々、他に幾らでも言い方があるだろう。ところが、ぶふっ、被修飾語・修飾語でもあるね。前部要素・後部要素ともいう。
君:上下という言葉に包摂関係が無いというのは重要なご指摘だわ。それに若し仮に包摂関係があるとすれば、下が上を包摂するのであって、上が下を包摂するわけではないのよね。
私:その通り。上位語は意味が広く、下位語は意味が狭い。上位語たる富士山の裾野が下位語たる富士山の天辺を支えているのであって、下位語・富士の天辺が上位語・裾野を支えているわけではない。包摂とはそういう意味だ。bakayarou !
君:良かったわね、国語学会の会員でなくて。
私:なっていたら除名だろなぁ。
君:いつまでも子供のあなた、変わってないわね。大人におなりになればいいのに。そういう私も振り返ればあっという間の人生、潮時かしら。ほほほ

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