大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学 |
ジモ方言 |
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私:方言というのはどんどん進化発展するので、次々と学術語も生まれる。「ジモ方言」は地元+方言からきた言葉。提唱者は田中ゆかり先生(日本大学文理学部)。着脱される「属性」―方言「おもちゃ化」現象― 君:簡単にひと言で説明してね。 私:うん。ではまず。方言には本物と偽物がある。これどういう事? 君:本物の方言と言えば、実際に現地のフィールドワークにて記録をしたり、録音したり、という事で、学術的に評価が可能な実際に存在する方言という事ね。偽物といえば、なんとなく方言っぽい言い方、という事で、戯曲や映画など方言作品として現れる言い回しで、俗語とも、流行語とも、つまりは学術的な評価の下しようがない方言、という事かしら。 私:大正解だ。前者をリアル方言といい、後者をバーチャル方言とも呼ぶ。 君:となると、地元の人がお話になる方言という意味で「ジモ方言」はリアル方言という意味かしら。 私:そこが違う。「ジモ方言」はバーチャル方言の一種だ。バーチャル方言は細分類でき、その一つに「ニセ方言・なんちゃって方言」がある。「ニセ方言・なんちゃって方言」は正に偽物であり、俗語とも、流行語とも、つまりは学術的な評価の下しようがない方言。 君:あら、それって私の言葉よ。 私:うん、ごめんね。「ジモ方言」はバーチャル方の中でも「ニセ方言・なんちゃって方言」以外のものを指す。 君:なるほど。ではバーチャル方言という言い方は止めて、リアル方言・ジモ方言・ニセ方言(なんちゃって方言)の三分類はどうかしら。 私:ああ、それでもかまわないだろう。厳密にいうとリアル方言じゃないけれど、限りなくリアル方言に近い物、それがジモ方言だ。 君:具体例はいいわよ。 私:古老が「そうなんじゃさぁ」と言えばリアル、ただし、今日日、このように言う人は皆無に近いね。飛騨に嫁いだお方もたちまちに飛騨方言をマスターし、「そうなんや・そうなんやお」などおっしゃればジモ方言。そうでがんす、なんて言葉は飛騨方言には無いから、これは飛騨方言としては明らかにニセ方言。 君:なるほど。但し「そうなんや・そうなんやお」と言われても、左七にとっては、微妙な言い回し。音韻、アクセントが気になる事により、「うーん・ちょっと違うなあ・何処で飛騨方言を学んできたの」というのがジモ方言というわけね。 私:そうです。人工的に作られたものがジモ方言。飛騨の人々によって自然に発せられるのがリアル方言。 君:なるほどリアル方言は天然物で、ジモ方言は養殖物に例えられるわね。ほほほ |
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