大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学

俚言という言葉の成立

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私:はっと気づいて先ほどは調べものをして、ふふふ、思った通り。満足している。
君:いいから、結論を言って。
私:そもそもが俚言と言う言葉は誰が言いだしたのかな、或いはいつ頃から使われ出したのかな、という疑問。
君:わかったのね。
私:江戸時代。リゲンシフラン俚言集覧・江戸時代の国語辞書。26巻。太田全斎(1759-1829)著だが正確な成立年は不明。
君:つまりは彼の命名。やったじゃない、気持ちがいいでしょ。
私:ヤッホー!
君:おバカさん。
私:ただし、続きがある。これが広く世の中に知れ渡ったのは明治33年(1900)。井上頼圀(いのうえよりくに)・近藤瓶城(こんどうみかき)により全三巻として出版されたんだ。従って明治33年をもってリゲン俚言という学術語が成立したと考える事もできる。
君:江戸時代だって学術語といえないのかしら。
私:ふふふ
君:・・しまった。江戸時代と言えば学術語は国学と漢語ね。庶民の言葉を書き表しても学問とは言わないわね。
私:好事家とでもいったらいいか。要は方言マニアの書。江戸時代は評価は高くなかった可能性がある。
君:それは令和の今もあまり変わらないのじゃないかしら。
私:いやあ、なかなか鋭いね。先ほどは国語研究所の日本語コーパス・中納言で「俚言」をキーワードに検索してみた。結果は推して知るべし。
君:いやん、意地悪。
私:では。奈良・平安・鎌倉・室町・江戸はゼロ。明治から昭和前期で17件、昭和後期から平成で11件、令和で2件。つまりは激レア語だね。
君:激レア語について語る、という事を自慢したいのね。
私:ああ、自慢したい。気分は文学博士。
君:おバカさんの医学博士。いいから総括してね。
私:太田全斎が漢語たる俚言と言う言葉を発案した。然し学問とは認められず、江戸時代の文献に俚言と言う言葉は見当たらないという事。明治から昭和前期で17件という文献の数は、明治33年に全三巻にて出版された前後の文献。正確には「開化のはなし」1872〔初編〕上・曲肱軒主人(作)がトップバッター。
君:ネット検索でなんでもわかっちゃうのね。
私:他ならぬ当サイトの情報がネット情報。斐太高校卒の無名の医者が国語学に夢中になっている事を世界に発信し続けている。
君:ほほほ、当記事は俚言という言葉の歴史の最新情報という事で、つまりは令和のネット情報ね。ご苦労様。

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