飛騨方言で、そこ、というとふたつの全く別の意味があります。
両者は明確にアクセントが異なり、話し言葉では鑑別は極めて容易であり、会話が混乱する事はありません。
そ、がアクセントの場合は、あなた(がた)、あなた(がた)の方、あなた(がた)の家、という意味になります。
こ、がアクセントの場合、共通語と全く同じ意味になります。
例えば、そ、がアクセントを仮に(そ>こ)と記し、こ、がアクセントを(そ<こ)と記す、としましょう。
"(そ<こ)の車は(そ>こ)の車か?" と発音すれば、そこにある車は(実は)貴方の車ですか、と言う意味になり、
"(そ>こ)の車は(そ<こ)の車か?" と発音すれば、貴方の車は(実は)そこにある車ですか、と言う意味になります。
アクセントの違いが明瞭ですから、意味の違いも明瞭です。
さて飛騨方言では第二人称は、わりぃ、も用いられ、わりぃ、と、そこ、の二通りが飛騨方言の第二人称です。
ただし、(そ>こ)と言えば、貴方おひとり、貴方ご自身、と言う意味ではなく、
あなたの家の、ないし、あなたのまわりの、あるいはあなたの家族全員の、という意味になる事があります。
例えば、(そ>こ)の車は全部わりぃの車が? といえば、貴方の家の車は全部あなたご自身の車ですか、という意味になります。
勿論、(そ>こ)のかあちゃんぁべっぴんやなあ。 といえば、あなたの奥さんはお綺麗ですね、という意味になり、単数となります。
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