大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

あるっていった

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表題ですがさてどんな意味でしょう。勿論ですが、"在るって話した。"という意味ですね。あまり正しい共通語の表記とはいえない若者言葉でしょうか。在ると言った、と書けばよいのでしょうか。

ところで飛騨方言で、歩いて行った、という意味で、歩って行った、と言いませんか?え、言わない?!やはり。でも、うーん、飛騨方言で言うような気がします。ここはひとつ国文法の用語で、カ行動詞の連用形は共通語に等しくイ音便になるか、飛騨方言に特有の促音便になるか、所詮は内省実験なので一人内省していても結論は出ません。この促音便は実は北関東の方言で首都圏ではあまり用いられないようです。

内省実験ですが、飛騨方言のセンスにあるようです。飛騨方言ではカ行動詞の連用形は飛騨方言に特有の促音便になるという文法があるのでしょうか。でも「あるっていった」という文章は以下の同音異義語になってしまいます。すなわち、
漢字表記    意味
在るって言った 在ると話した
歩って行った  歩いて行った
そして実はこれが言いたい。 若しこれが本当なら、飛騨方言ではアクセントの違いで容易に意味の違いを区別できますね。すなわち、
漢字表記     アクセント
在るって、言った ●○○○、●○○
歩って、行った  ○●●●、○●●
このアクセント則は東京語のそれに合致するはずです。ただし本当に飛騨方言ではカ行動詞の連用形は飛騨方言に特有の促音便になるのか、というご質問に対しては、この、歩く、という動詞以外は断じて否ですね。書く、は書いて、鳴く、は鳴いて、等々、すべて促音便にはなりません。先ほど来、黙々と小一時間、内省してみました。
まとめ
★若し飛騨方言において、歩いて、を歩って、と活用すれば、変格の活用である。(来るも歩くもカ行変格という事です。)★思うにこのような言い癖は、ラ行動詞連用形は必ず促音便になる、という国文法の延長上にあるかも。★この用法が単なる誤用なのか、あるいは実は飛騨方言の文法なのかは文献が乏しく不明。筆者自身の内省では飛騨方言のセンスに合っていました。★この用法はアクセントの違いで「歩く・在る」の意味の混同が回避できるので実用上は問題ない話法です。北関東方言との文献があります。但し東京式アクセント圏では通用するが、京阪式アクセントで圏では意味の混同が生ずるので用いられないようですね。

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