飛騨方言では、動詞"おく" には"置く" 以外に "止める、中止する" という別の意味があります。
また、活用ですが、おい"ておかない" が おい"とかん" となります。
本題ですが、"おく"ために"おいて"おかない の二つの動詞にそれぞれ二つの意味があますので、
- 中止する(目的で)+置く(事をしない)の組み合わせですと、"二日酔いはこりごりだ、酒を中止する為には、家に酒を置いてはいけない" という意味になります。
変な言い回しながらも、意味の通る文章となっており、本来の用法です。
- 中止する(目的で)+中止する(事をしない)の組み合わせですと、"肝臓が弱っているので医者から酒を止めよといわれていて、それはよくわかっている、
がしかし酒を中止する為には、(今週だけは)せめて人生最後の酒週間と言う事で酒をやめてはいけない。(けど来週からは一滴も飲まないぞ。)" という意味になります。
- 置く(目的で)+中止する(事をしない)の組み合わせですと、
"酒を常時、家に置いておく為には、二日酔いにめげちゃだめ、常に酒を中止してはいけない。" という意味になります。うん、これも何となく意味は通るなあ。
- 置く(目的で)+置く(事をしない)の組み合わせですと、かなりのこじつけにはなりますが、
"いつも新しい酒をもらって置く為には、その酒は次々と飲み、古い酒を大事に置いておかないことだ。
すると、酒好き佐七が酒がなくて寂しそうだと、誰かまた酒を持って来てくれるだろう。"
というような意味になりましょうか。
総論としましては、以上の四文例の第一文はまともな人間、第二文は刹那主義者、第三文はアル中、
第四文は飛騨の大酒豪・もっぱらの酒好き・うわばみ佐七 という意味になりましょう。
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