表題の言い回しですが、飛騨方言を正しく理解していると意味がちゃんと通る言い回しになっています。
一読しただけでは、おそらく
お願いだから来ないでちょうだい、来ないでちょうだいったら!
というような意味かな、と思われる方が多いでしょう。
実は飛騨方言ではサ行動詞はイ音便化しますので、物事をこなして、という共通語は、物事をこないて、と言います。
また、むしろ、このイ音便が更に濁音になり、物事をこなして、という意味で、飛騨方言では、物事をこないで、というのです。
つまりは、飛騨方言では、こないで、といっても
(A)仕事などをこなして、の意味
(B)来もしないで、というつまり、連用形のの意味
(C)来ないでください、つまり、来るな、という命令形の意味
の三通りの意味になります。二つ続ける組み合わせは(A)+(B)と(A)+(C)です。
つまり、表題の意味は以下の二通りと言うわけです。
(A)+(B)=仕事などをこなして来もしないで、 という意味
(A)+(C)=仕事などをこなして来ないでください。 という意味
(B)+(C)はナンセンスでしょう、だって(B)は(C)そのもの、言葉の繰り返しです。
ところがおっとどっこい、(A)+(B)は(C)ではない。従って、(A)+(B)+(C)は意味が通るのです。
(A)+(B)+(C)=(仕事を) こないでこないで (こちらへ) こないで
=(仕事を) こなしもしないで (こちらへ) 来ないでください。
共通語の意味としてはちょっと苦しいかな、でも何となく飛騨方言らしいですが。
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