サ行動詞のイ音便は飛騨方言の特徴には違いないのですが、そもそもは全国各地に見られる言い方なので、
飛騨方言特有の変な言い回しとは言いがたい面があります。
ところで、サ行動詞のイ音便というのは、出して、という共通語の言い回しを、出いて、という言い回しです。
これを用いて変な言い回しを考えるコツがありますので、それをお教えしましょう。以下、種明かしです。
まず一つ目のコツですが、共通語でカ行動詞は(必ず)イ音便となりますので、
語幹がカ行にもサ行にもある動詞を考えてみてください。例えば、抱く、と、出す、などです。
抱く、は必ず、抱いて、とイ音便化しますので、抱いて出(だ)いて、 あるいはその逆に、 出(だ)いて抱いて という言い回しを作ると
変な言い回しになります。
二つ目のコツは、ひとつのサ行動詞の語幹ですが、これを例えば濁音化して、
やはり意味の通る別のサ行動詞にならないか探ってみることです。
例えば、落とす、と、おどす、です。
この二つの動詞を用いて、おといでおどいて(=物を落として脅迫して)、 あるいはその逆に、 おどいておといて(=脅迫して物を落として) という変な言い回しを作ることができます。
以上の二つのコツを両方を更に兼ねそえた、三つの動詞の組み合わせを見つけると幸せな気分になれます。
例えば、たたく、たたす、ただす、の三つの動詞です。連用形三つを書く言い回しでも、これは六通り作成できます。
最初に来る動詞で三通り、二番目にくる動詞で二通り、最後の動詞はひとつに確定して一通りのみ、つまり数字・3の
階乗分の組み合わせができるわけです。
意味はおどろおどろしいのですが、例えば、叩く、立たす、正す、の組み合わせでいきましょう、、、
たたいて、たたいて、ただいて は、先生が生徒の頭をたたいて、その生徒を廊下に立たせて、その生徒の勉強態度を正す、と言うような意味になります。
えっ、これじゃ全然、面白い意味じゃないって!それもそうだよね。
これならどうでしょう。例えば、炊く、足す、出す。
たいて、たいて、だいて は、(やきそばの弁当だけじゃ足りないから)ご飯を炊いて、おにぎりを足して、弁当に出して。
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