大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

命令しょうよと命令しようよ

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表題ですが、共通語としては何ともはや、意味が通らない文章でしょう。 勿論、"しょうよ"という飛騨方言の部分が挿入されているからです。

もったいぶらずにいきなり解答します。命令せよと命令しようよ、という意味なのです。 つまりは爺さんと婆さんの会話ですが、孫がワシ達の事をちっとも聞かない、 やはり親たる息子夫婦が子供に命令しなくっちゃだめだ、わしら老夫婦も子供たる息子夫婦 に"おい、孫にちゃんと言っておけ"と命令しましょうか、、、とでもいう意味です。

文法という、少しつまらない話もついでにしましょう。実は、するというサ行変格動詞は、飛騨方言では せる、という動詞であり、また活用が特殊なのです。 この飛騨方言動詞・せる、の命令形は、せよ、しよ、しょ、の少なくとも三つの言い方があると筆者なりに考えます。 共通語での命令形・しろ、は飛騨方言では用いられません。 これは勿論、飛騨の人が、しろ、を使わないと言う意味ではありません、意識して共通語表現を用いたくて、 しろ、という方もありましょう。

さて命令形、せよ、しよ、しょ、に各種の終助詞が他の終助詞に接続することも多いのです。 ひとつの例が終助詞・よ、です。せよよ、しよよ、しょよ、の三者とも実は用いられます。 共通語では、せよよ、とはいいません、しろよ、と言います。ところが飛騨方言には、しろ、が そもそも無いので、飛騨方言では、しろよ、とも言いません。 おもしろいですね (えっ、おもしろくもないって??)。

さらにしょよ、は長音化する事もあるのです。つまり、しょうよ、です。 つまりは、小さい、ょ、で、しょうよ、は、せよ、という意味の飛騨方言の命令形です。 大きい、よ、の、しようよ、は共通語で勧誘の意味です。と言う事で、しゃみしゃっきり。

おっと、アクセントですが、弱は○、強は●で示しましょう。 せよ○●、しよ○●、しょ●、せよよ○●○、しよよ○●○、しょよ●○、しょうよ●○、です。 共通語で勧誘・しようよ○●●○とは、拍数すら異なりますので話言葉では意味のとり間違いなど 起こるべくもありません。 しょうよ、と、しようよ、はあくまでも書き言葉で少し紛らわしいかな、という意味です。 特に、私のような、、、、、、老眼では、という事で本当のしゃみしゃっきり。

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