おらん、といえばおる(居る)の否定形・おらぬ、の撥音便ですから、
いない、という意味になりますが準共通語といってもいいのでないでしょうか。
さて表題ですがなんの意味でしょう。いない子がいない、とは?いない子がいるとは??
表題ですが赤ぶどう酒が赤い、とか、重要点が大切です、とか
結局は同じ事を繰り返しているだけの言い回しではなさそうですね。
そういえば小学校の時、こんな事もありましたっけ。
隣の小学校と合同の卓球大会があったんですよ。
その小学校の応援の一人ですが私の対戦相手にこう言ったのです。
まつーっ!勝たんと負けるぞ!(= If you don't win, you will loose.)
中学に進学すると同じ中学校区になり、お互いに名前がわかります。
私の対戦相手はまさひこでした。くだんの意味不明言葉を叫んだ人間はよしひさでした。
さて答えですが、おらん子は、おらの子、の撥音便で私の子供という意味です、
つまり私の子供がいない、という意味でした。なんだ、そうかい。
ところが面白い事に飛騨方言では第一人称はおりぃ、です。おら、ではありません。
第一人称の所有格のみ撥音便を用いておらん〜、という次第です。
またこの"〜らん〜"という言い回しは第一人称以外では用いられません。
また接続する体言ですが、
おらん子、おらんぼう(息子)、おらんびい(娘)、
おらんまり(まわり)、おらんち(うち、=家)、おらんどこ(ところ、=家)
などの用法に限られます。
これ以外の体言の接続はほとんど聞かれないでしょうねえ。
例えば自分のマスコットにウータンと命名して、
おらんウータン(=私のウータン)と言ってもいけない事はないのでしょうが。しゃみしゃっきり。
おっと追加題です。おらん子がおる、といえば
存在せぬ子が存在する、という意味にとらえてしまって
丸い四角、木製の鉄、の如く、所謂形容矛盾の表記では、と解答する方もあるかも。
(正解は)私の子がいる、という意味の飛騨方言で、
受験シーズンですが、合格発表はこうありたいですね。
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