例えば、かわいいお嬢さんという表題なら可笑しな言い回しではありません。
表題はやはり日本語としては少しおかしいですね。
がんこなじいさん、やさしいじいさん、あたりの表現なら日本語としては
おかしくないでしょう。実は表題は、飛騨方言で、かわいそうなじいさん、
という意味なのです。
不肖佐七辞書・かわいい、もご参考までに。
だから、これならおかしい意味ではありませんね。
例えば、ご病気であるとか、身寄りが無いとか、
正視に堪えられず哀れむ、という意味になります。
応用題ですが、おおきい・おおきそうだ、にどれだけの
意味の違いがあるでしょうか。正解は、ほとんど意味の差は無い、です。
ちいさい・ちいさそうだ、やはりほとんど意味の差は無いですね。
ところが、かわいい・かわいそうだ、これは共通語では全くもって
別の意味です。
つまりは、国語の語彙史で、大変に興味ある言葉が、この、かわいい、
という言葉というわけです。
実は、中世においては、中央においては、かはゆし、は飛騨方言に
同じく、かわいそうだ、という意味だったのです。
つまりは、かわいい・かわいそうだ、ともに同じ意味で
使う飛騨方言こそ、かえってまともな言語とも考えられましょう。
それでも古文を選択する大学受験生にとっては、
言葉の意味が時代とともにコロコロと変わってはたまったもんじゃありません。
がしかし、方言好きの佐七にとってはたまらない。
と言う事で、ひなには古き言葉が残れり、どうでしょうか、
大先輩の田中大秀様。
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