大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

たけうま・きんま考

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方言の定義ですが、共通語でないのが方言でしょう。共通語で言葉の意味が定義されていればそれに該当しない語の概念が方言です。特定地域の人が話すことばとは限りません。地域を越えた特定集団の事もありましょう。

さて飛騨方言・たけうまを討論する前に、共通語・たけうまの定義は何でしょうか。熊本発、日本で唯一の竹馬専門店というキャッチコピーに敬意を表して、竹馬工房を紹介します。竹馬の起源などについても書かれています。

本題になりますが、実は飛騨地方は高地・寒冷で大きな竹が育ちにくい自然環境なのです。大きな竹が自生するのは飛騨地方の南の一部、下呂あたりだけという事になります。勿論、竹林は私の村にも少しありましたが、竹は細くて竹馬の材料になりません。このような細い竹を子供が利用するのはなんと言っても川釣りのさおですが、大きな竹が若しあってもそれは子供の遊具、竹馬には使わせてもらえません。

話がまわりくどくなりましたが、飛騨ではすべて木を材料として「たけうま」を作るのです。各戸は大工を生業としなくても、大工道具は一通りそろっているものであり、家の普請もある程度は各戸で行う土地柄ですから、木製のたけうまを作ることなどたやすい事です。また山の国ゆえ、木の材料には事欠きません。私の成長にあわせ、親が幾つか作ってくれた木製たけうまで遊んだ事が今懐かしく思い出されます。BR>
そしてさて、ならば飛騨の人はたけうまの事を何というのでしょう。これが実はやはり、たけうまです。ところが日本方言地図なるデータベースをみますと、共通語・たけうまに対する方言は"たけんま"と言う地域が最も多いようですが、材料は竹である事が前提の資料でしょう。つまりはこのデータベースは飛騨地域は竹の取れない地域でそもそも対象外、飛騨地域をたけうま地方とするのは狭義では間違いであると私は主張せざるを得ないのです。

そしてまた飛騨方言に、きんま(木馬)という言葉がありますが、いわずと知れた木製のおおぞりの事、飛騨はじめ雪国地方ならどこにでもある言葉といってもよいでしょう。

結論ですが、飛騨地方は下呂あたりの南部地域を除いて、狭義の竹馬は存在せず、南部以外では材料にすべて木を用い、しかもそれをタケウマという。飛騨方言・きんま(木馬)は木製のおおぞりの事であり、広義のタケウマを意味しない。ところで振り出しに戻って竹馬のキーワードでトイザラスもヒットしますが、画像はどうもスチール製です、広義である事は言うまでもありません。

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