大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
mora vs syllable |
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私:先ほどは服部四郎「言語学の方法」を読んでいて、ほうっ、と思った事がある。 君:表題を和訳すると、拍と音節、という事ね。対象言語は? 私:三重県亀山のご出身の服部先生と言えばアクセントの鬼で学生時代から、夏休みの帰省の折に、東海道沿いのアクセントを調べまくった事が有名。東西アクセントの境界が地元三重県にある事を突き止めた。東大教授という肩書も然ることながら、日本語のルーツに興味を抱き、アジア各国の言語をも調べまくり、ついでにタタール人の女性と結婚してしまわれた。破天荒なお方だ。僕には真似ができない。 君:そういう下世話なお話は置いておいて、結論を簡単にお願いね。 私:うん。音節はどの言語にもあるが、モーラは一部の言語にしかない。えっ、ほんとうですか、という程に僕にとっては驚きだった。音節を分解すると拍になる。また拍が癒合して音節になる。つまりは音声学的には拍(モーラ)は音節(シラブル)より小さい単位。僕はてっきり拍が進化してシラブルになったのでは、と思い込んでいた。 君:一部の言語にしかないモーラ。日本語は当然に含まれるとして、他の言語は? 私:アイヌ語、朝鮮語、モンゴル語、ラテン語など。ラテン語以外はアルタイ諸語。 君:英語のアクセントはシラブルで考えればいいのよね。 私:日本語のアクセントはモーラで考える。シラブルは関係ない。俳句を五七五などというが、あれは嘘だね。拍・モーラというのは一定の時間間隔の最小単位。俳句には実際には無拍のモーラが3・1・3も入っていて、実は8・8・8のリズムなんだ。日本語の最小語制約が2モーラだから、2拍が四回を三回繰り返す、これが俳句の正体。要はリズム。字余り句であってもリズムが崩れないのはこのようなカラクリに依る。・・・痩せガエルさんへ、負けるな一茶が、これにありけるに 君:佐七様・・・なにおっしゃるの・それアウト・・・、いちいち私に教える事じゃないわよ。 私:失礼しました。 君:アルタイ諸語はシラブルから始まり、そしてやがてモーラが生まれたという事ね。 私:その通り。モーラ語とは、ズバリ、母音優位。関西弁でんがな。 君:世界の諸言語に共通なシラブルとは、モーラ(つまりはリズム)とは異なった概念で、音声学的には意味の最小単位という事よね。言語学の著には必ず記載される用語で、意味論の困った所、つまりは諸説あり、その考えの一つが服部先生というわけね。 |
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