大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
Welsh accent |
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私:表題だが、イギルス・ウェールズ地方のアクセントという意味。昨日はドキッとしてしまった。 君:英国英語でもアクセントが幾つかある、つまりは英語の方言のお話ね。 私:そういう事。といってもひとつの単語 synapse のアクセントについて。 君:ドキッとした理由は? 私:NHK-BSで睡眠をテーマにした健康番組をやっていた。 synapse は脳科学の学術語で神経終末、神経金接合部、あるいはシナプスと呼ぶ事もある。「高校生物」+「シナプス」でまとまったネット情報も得られるので、「シナプス」は誰でも知っている日本語と言ってもいい。だから実は今回は日本語「シナプス」のアクセントのお話。 君:ほほほ、NHKや三省堂のアクセント辞典には記載が無いのよね。 私:ゲストの先生は頭高「シ\ナプス」のアクセントだった。でも僕は中高「シナ\プス」で語るので、しまった・間違っていたのか・不覚だった、と思ってしまった。 君:複数のお方がご出演だったでしょ。 私:おっ、するどいね。実は頭高か中高か、各人バラバラという事で半々だった。つまりは国語問題「シナプス」としては頭高・中高の両論併記という事なんだろうね。 君:学術的にはどうなの? 私:慌てて医学英々辞典にあたったが sy'napse。だから日本語も頭高で発音すべきだね。 君:どうしてウェールズ地方のアクセントのお話なの? 私:synapse - pronunciation (American, British, Australian, Welsh)という動画がある位で英米人もアクセントを知らない人、或いは間違っている人が多いという事だろう。英語圏ではアクセントは first syllable だが、ウェールズ英語では「シナ\プス」式のようだね。 君:だからと言ってあなたの中高アクセントの正統性にはならない、という事なのよね。 私:その通り。ところで synapse の語源はギリシャ語 synapsis。こちらは syna'psis のアクセント。なぜか分かるよね。 君:シラブルの数が違うからでしょ。 私:その通り。僕が synapse のアクセントを間違えしまった原因は synapse / synapsis 共に同一のアクセント語類であると思い込んでいたという事。two-syllable words つまり double consonants は必ず第一シラブルにアクセント核があるのが英語のアクセント。気づいてしまえば簡単な事。蛇足ながら -sis の直前にアクセントがあるのも英語の常識。日本人とて全員が axis は「ア\クシス」と発音する。 君:両語は同じ意味なのかしら。 私:とんでもない。 synapse は神経末端を意味し、 synapsis は減数分裂の第1回分裂前期に相同染色体が2本ずつ平行に並んで接着する現象で、対合(ついごう)と訳される。 君:たかが医学英語、されど医学英語よね。 私:そうさ、ざっと数十万の語彙だからね。ははは、ご心配なく、40年以上のキャリアだがアクセントを間違えたのは今回の一回だけ。これで締めくくりとしよう。syncope 日本語訳は「失神」。この発音は? 君:発音はシンコープ(?)でアクセント核は「コ」かしら。 私:実は専門家でも発音を間違える事が多い単語だ。正しくは syn'cope だから「シ\ンコ・ピー」と発音するといいね。 君:なるほどね。 私:音楽でシンコペーション(跳音)・アンティシペーション(先行音、先取音)を習ったよね。医学用語 syncope と語源は同じだ。脈が飛ぶと心臓が脳に血液を送れず失神となる。音楽用語と循環器学用語の意外な結びつき。ははは 君:シンコペーション、確かに習ったわね、タ・タータ。実は心臓の鼓動だったのね。ほほほ |
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