大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

foxp2 遺伝子

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私:今日は言語に関する医学のお話、言語の遺伝子のお話をしよう。
君:言語学のお話ではなくて遺伝学ね。つまりは医学のお話。
私:ああ、そうだ。日進月歩の医学だが、遺伝学の発展も目覚ましい。21世紀の今世紀に入って医学上の大発見があった。それが foxp2 遺伝子の発見。
君:簡単に言うとどのような遺伝子なの?
私:言語遺伝子だ。当初、文法遺伝子と言われた事もある。第七染色体にある。発見者はスバンテ・ペーボ。

君:京都大学でご講演。ノーベル賞を受賞なさったのかしら。
私:ははは、彼はドイツのマックスプランクの教授だがスェーデン人。王立アカデミーの会員なので自分に賞を与える事は出来ないんだよ。彼は人に賞をくれてやる立場のおかただ。
君:ほほほ、言語遺伝子があるとどうなるの。
私:簡単に言うと人類が言葉を自由に操れるのはこの遺伝子があるおかげ。この遺伝子が欠損して言葉を喋れない家系が英国にいらっしゃって、そのあたりが発見の糸口だ。鳥がさえずる事ができるのもこの遺伝子のおかげだそうだ。
君:世の中には賢いお方がいらっしゃるのね。
私:ところでこのサイトでは飛騨方言を扱っている。
君:全国の方言を扱うには手に負えないという事ね。
私:その通り。全国の方言といっても全ては日本語なのに。たった一つの言葉、日琉祖語から派生したんだよね。
君:だからといって古代からどのように日本語、というか飛騨方言が発展してきたのか解明するのは大変よね。
私:ああ、大変だ。ところで全世界には何万もの言語がある。日本語はほんのそのひとつにすぎない。
君:つまりは世界中の言語についてその仕組みを考えるというのが言語学なのよね。気の遠くなるような学問だわ。
私:そう。気が遠くなる。ただし言語学の基礎的な理解無くして、日本語(国語)の理解も有り得ないし、従って飛騨方言の理解も有り得ない。
君:言語学といえば英語は得意よね。
私:商売道具といってもいいね。それに留学の経験が大きい。得意かどうかは自信がないが、家内は私の英語の寝言を何度か聞いたそうだ。
君:ドイツ語はどうなの。
私:今、独学している。ニュースはドイツ語を聞いているよ。全ては理解できないが、気にせず自然に覚えようと思って、辞書はあまり引かない。書き言葉、つまりはドイツ文学はあまりやっていない。専ら聞くだけ。
君:どうやらあなたの foxp2 は正常のようね。
私:ははは、こうやって君と日本語で会話が成立しているという事は君の foxp2 も正常。時々はチラリと嫌味を言ってくださる所なんか、僕より foxp2 が優れているね。
君:ご冗談ね。それにしてもすごい時代に私達は生きているのね。
私:言語学は畢竟、脳科学。という事で医学の一部と考えられなくもない。
君:つまりは国語学は医学の下位分類とでもいいたいわけ。
私:とんでもない。考えられなくもない、とは、考えるには無理がある、と言い換えられる。あくまでもひとつのものの見方。言語起源も参考までに。
君:それにしても中学や高校で習った生物って暗記科目のような感じだったわね。
私:生物学に数式は出てこないと思う人が多いだろう。ただし、集団遺伝学という学問があって、これは数式の羅列みたいな学問。木村遺伝学なんていう名著があって、教養部時代にはそちらにハマってしまった事もあったんだけどね。高校まで数学が一番好きだったから、あのままやっていれば遺伝学者になっていたかもしれない。
君:国語学と医学を結び付けるのが foxp2 遺伝子なのね。こころならず/かたりたる/あきつくに/なる/ことのは/げに/こころ/よげ/なる事/ foxp2 の/みたま/なる/技と/知りて/たふとき事/かぎりなし。

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