大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

脳の解剖学、聴覚座

戻る

私:表題の事をお話しする前に、脳みそのしわの数、などというを日常会話で話すよね。
君:ええ、そりゃもう。アインシュタインって、滅茶苦茶といっていいほどしわの数が多かったのかしら。
私:そういう例えで言うと、僕なんかしわの数は少ないな。ブロードマンという解剖学者がいて、そのしわに番号をつけたんだ。おたくの世界だな。
君:大脳のしわは多少、個人差がありそうね。
私:まさにその通り。でも何でもかんでも個人差では学問にならないので、大雑把な事は小学生も知ってほしい。前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉。人が方言を聞けるのは側頭葉、それもその一部分たる聴覚野。
君:あら、表題は聴覚座だわよ。
私:今日は枝葉末節は全て省いてザクッと行きたい。ヒトは耳があって言葉を聞いているが、実は聞いているのは大脳、その側頭葉だ。
君:右の側頭葉が右耳の音を解析し、左の側頭葉が左耳の音を解析しているという意味ではないのよね。
私:その通り。両耳の情報が複雑に絡んで両側頭葉で解析している。これ以上は簡単な説明にできない。ごめん。
君:いいけど。聴覚座と聴覚野について説明してくださいな。
私:はいはい。聴覚座といえば一番に大きな概念。つまりは人が言葉を聞くとはいったいどんな哲学的な意味があるのか、という脳科学の根本命題だ。ヒトは、というか、生命は、側頭葉で音を感知する。これをまず覚えてくれ。
君:はいはい。
私:よし。例えばね、「アニョハセヨー」なんて音が飛び込んできたとする。さあ、側頭葉はどう反応する?
君:いやだ。馬鹿にしないでよ。韓国語で「こんにちは」でしょ。
私:実は、その時点で君の前頭葉のしわが日本国民の平均以上という事がまるわかり。
君:聴覚座の話に限局してお話をしてね。
私:はいはい。君の耳が正常である事はよくわかる、外耳から内耳まで。そして一次聴覚野(側頭葉)にその音韻が伝わった事も。君の側頭葉は瞬時に以下を判断したんだ・・・ムムッ・日本語じゃない・ははあ・外国語だな、という事で情報を君の前頭葉に送る。君の前頭葉には無数とも言える記憶の粒があった。それに照らし合わせて「アニョハセヨー」は日本語の「こんにちは」・英語の「ハロー」・中国語の「ニーハオ」・ドイツ語の「グータンターク」に相当する事も瞬時に理解するんだ。
君:つまりは各国語の言語に精通するのは前頭葉であって側頭葉は関係ないのね。
私:おっしゃる通りです。人間の尊厳は前頭葉です。側頭葉なんて、単なる耳の延長です。
君:それは言いすぎだわよ。側頭葉だって頑張って働いているのだから。
私:その通りだね。例えば私と私のお袋がある韓国人から挨拶されたとしよう。アニョハセヨー
君:ほほほ、お母さまもあなたも正しく「アニョハセヨー」という音韻が解読できたのね。
私:その通り。お袋も私も側頭葉の機能は互角で、これは外国語だ、という所までの認識は同じだった。私はそれを韓国語の挨拶語と理解し、お袋はわからなかった。
君:つまりは佐七君はお母さまより前頭葉のしわがひとつ多かったと言いたいのね。
私:そうなんだよ。実は、ひとつではなく、ふたつ以上だと思うんだけれど。
君:根拠は?
私:私のお袋も私も共に、米国人から話しかけられたら、ははあ英語だな、という事はわかる。
君:それで。
私:お袋は話の内容は何もわからないが、私は全てわかる。お袋がわかる英語というか日本語は、ハンドバッグ、カレーライスくらいだろう。恥ずかしながら・・・僕の母親は中卒です。
君:あなたを産んで育ててくださったお方だから大事にしなくちゃだめよ。
私:勿論だよ。人として当たり前じゃないか。さて、以上が前置きだ。本題に入ろう。ヒト、というか動物は、側頭葉で聴く。音は周波数、内耳には特定周波数に反応する聴神経がピアノの鍵盤のように整然と並んでいる。そのデジタル情報は複数神経を介して側頭葉の一次聴覚野に送られる。一次聴覚野にはこれまた特定周波数に反応する聴神経がピアノの鍵盤のように整然と並んでいる。これをコアというんだ。またコアを取り囲むように複数の神経が取り囲み、側頭葉だけでもひとつの小宇宙が完成する。それが聴覚座。ウェルニッケの言語野「聴覚性言語野(聞いた言葉の意味が分かる場所)」は聴覚座の一部でしかない。
君:ほほほ、あまり熱く語らないほうがいいわよ。
私:古い文献だが、こんなのがある。聴皮質の機能解剖 とその可塑性耳鼻臨床 92: 10; 1027〜1039, 1999
君:一言で説明して。佐七君は何をいいたいわけかしら。
私:図2 サルの聴皮質やね。側頭葉のコアに特定周波数に反応する聴神経がピアノの鍵盤のように整然と並んでいるんだ。そしてそれを取り囲む小宇宙(聴こえの世界)が広がっているという事。詳細は以下の動画だ。すすっと入ってくる人は前頭葉の英語脳がまともな人。

君:つまりは佐七君のお母さまも佐七君も側頭葉という小宇宙(聴こえの世界)は同じという事ね。
私:その通り。それに関して、実は僕って得意技があるんだあ。前頭葉のお話なんやけど。
君:ほほほ、お披露目したいのね。
私:聴いた瞬間にドイツ語であるという事かわかるんだよ。でも残念なことに・・・意味が分からなくなりつつある。
君:佐七君の側頭葉は未だに健全のようね。ただし肝心の前頭葉が機能不全になりつつあるのね。50年も昔の事ですものね。50年前に、佐七君は木村相良のドイツ語辞書をあなたのお手々の手垢で真っ黒にしたのね。でも・・・青春の二年間よ、さようなら、教養部は遠くなりにけり。ほほほ

ページ先頭に戻る