大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

パウルとパウリで大違い。

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先ほどですが、言語学の用語で「パウルの比例式」というのを偶然に発見しました。ヘルマン・オットー・テーオドール・パウル(Hermann Otto Theodor Paul)、彼の示した比例式というのが、
a:b=c:x
何の事かと申しますと、例えば「赤」という体言があって、「赤い」という用言があります。ですから名詞「赤」に「い」を足すと形容詞になるのです。ですから「ピンク」という色がありますから、これを形容詞にしようと思えば「ピンクい」と言えばよいのでしょうね。これがパウルの比例式という事のようです。小学校の低学年でもわかります。ですから「緑」を形容詞にすると「ミドリい」でいいような気もするのですが、「ミドリい」は間違いです。何故でしょう。国語の常識?、古代の日本ではそもそもが4原色(赤、青、黒、白)の概念があり以外の色は原色の下位分類の概念だったようで、紫色を「むらさきい」とは言いませんし、橙色を「だいだいい」とも言いません。「黄色い」は明治からの言葉で、「茶色い」に至っては戦後の言葉だとか。この6色については色の名詞+「い」=形容詞、が成立します。

蛇足ながら、古代の人にとっては信号の色は赤・青・黄なのです。緑菜ではなく青菜です。古典の世界は多種多様の華麗なる色と「にほひ」の世界なのに不思議な事です。その「にほひ」ですが「に丹・つまり赤土」+「ほ秀・抜きんでていること」+「ひ」という事で、元々は赤いという概念だったとか。「あをによし・青丹」やはり色の世界です。ちなみに世界の言語の中には、エスキモーは雪の白さを表すのに百通りあるとか、魚が沢山取れるアマゾンのある部族の言語は数の概念は二つしかなくて「ひとつ」「沢山」だけとか。いやはや。

繰り返しお書きしている事ですが、当サイトはエンタメ系です。学問的価値は全く無いでしょう。という事で、早速に本題ですが、「パウルの比例式」という学術語を知って真っ先に「パウリの禁制原理 Pauli's Exclusion Principle, Wolfgang Pauli」を思い出しました。理系の皆様ならご存知のはず、これって大学の教養部で結構、付き合わされましたよね。物理では量子力学、化学では有機化学で出てくる基本原理で、電子の動きを表す式です。パウリはこの業績により1945年にノーベル物理学賞を受賞しています。

大学受験の化学は子供だまし、モル計算なら小学生でもできましょう。医学部学生ともなると教養部の有機化学の教科書はモリソン・ボイドを買わされました。今の時代も世界中で愛されている教科書です。大学生協には訳書しか販売されいなかったのですが、実は、いやあびっくりしました、モリソン・ボイドの原著がネットで自由にダウンロード出来る事を知りました。例えばここ。今の時代、医学部の学生は書籍代が要らないのか。いい時代ですね。なにせ1274頁もあります。英語は平易なので十ページほど読んでみましたが、とても最後のページまで読み切る根気は今の私にはありません。

用語検索で Pauli's Exclusion Principle を見ると19頁からズラズラと出てきました。学生時代には内容を理解して単位を取得したはずなのに、全て忘れています。それどころか今、読んでも理解が不可能でした。また正直にお書きしますと、私の大学病院勤務時代の研究業績がラジオアイソトープでしたから、この辺の事は基礎知識として世界の研究者を競争相手に研究すらしていたはずなのに。論文も書いた。留学もした。医学博士になった後は学生の講義もしていたし、後輩医師に仕事を与えて論文も指導していた。

・・・・パウリは結構、得意だったはずなのに、それなのに今の私は・・。歳を取るという事は辛い事、あーあ、家内よ、わしゃもうだめじゃわいな。でも、まあいっかあ、そんな事、今日も面白い文章が書けたのだから。これからも、方言、国語、言語学の小ネタをせっせと書きましょう。
まとめ パウルの比例式は簡単すぎるがパウリの公式はとても難しい。パウルはノーベル賞をもらっていないが、パウリはノーベル物理学賞をもらった。だからパウル式が簡単でパウリ式が超難解なのは当たり前です。

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