大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
naked I(ネイキッドアイ、赤裸) |
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私:ちょっとエキセントリックな題だが、ご勘弁を。先程はある論文を読んでいて、フト気付いた事のお話。 君:論文とは。 私:日本語アクセントの再建(言語研究(Gengo Kenkyu)130(2006),1〜42 )。 君:フト気付いた事とは。 私:答えは既に書いてある。国語問題のありがたい所。問題の答えは設問の中に埋もれている。 君:つまりは英文抄録の部分ね。 私:その通り。 君:上野善道、東大名誉教授ね。2006 年 6 月 17 日に東京大学駒場キャンパスで開かれた日本言語学会第 132 回大会で行なった会長就任講演の内容を文字化したものよね。 私:そう。内容は難解だが、立派だと思う。素人には何が何だかわからないというような内容なので、そちらについて感想は控えさせていただく。高校生あたりなら誰にでもわかるお話にしよう。 君:英文抄録を問題視していらっしゃるのだから、英語の書き方、イロハ、という様な事ね。 私:その通り。 君:でも折り目正しいし、文法的な間違いは無いし、問題は無さそうだわよ。 私:大ありだ。論文である以上、科学論文も人文系論文も関係ない、要は英語の論文を書く時に絶対に単数形第一人称を使ってはいけない。 君:つまり、I(私)を使わないでください、と言う意味ね。 私:その通り。必ず第三人称で書く事。あるいは複数形第一人称 we はかろうじてあり、という事かな。 君:どう書けば言い訳。 私:Based on the modern dialects and ancient documents the author proposes a proto-accent system of the mainland Japanese dialects. で始めればいい。後は For the low-beginning series he (or she) incorporates the .. 君:つまりは自分を客観化して書け、という事ね。 私:複数著者の場合は Based on the modern dialects and ancient documents we propose a proto-accent system もいけないわけではない。 君:という事は、複数著者の場合は Based on the modern dialects and ancient documents the authors propose a proto-accent system .. They hypothesize .. のほうがいいかな、という事ね。 私:その通り。 君:国文学の先生もキチンと英語を勉強しなくては駄目ですよ、という意味ね。 私:要はそういう事。国文学の雑誌のようだが、編集局があり、編集長もいらっしゃるだろう。彼らに日本人が書いた英文を英米人、つまりはネイティブの翻訳家に校閲していただき、然る後に出版する、という慎重さが求められるという訳だ。 君:東大教授が英語の間違いなんかするわけない、という思い込みは駄目という事なのね。 私:その通り。 君:ほほほ、なによそのドヤ顔。あなたって無名のポンコツ町医者でしょ。 私:一寸の虫にも五分の魂、これは若い人へのメッセージだ。 君:確かに、現代はオンラインでプロがチェックしてくれる時代だわね。 私:そういう事。それ以前の問題として、英論文を志す者はシカゴマニュアル The Chicago Manual of Style を通読して欲しい。手元には第十三版(1982)がある。有難いことに論文の書き方が時代と共にコロコロと変わる事は無い。 君:ほほほ、若い頃の思い出という訳ね。 私:そういう事。 君:でも今のあなたの仕事に関係ないんじゃないの。 私:娘がいよいよ reviewer をするようになった。無名のポンコツ親父としても娘の監督義務がある。 君:ほほほ、そういう事ね。いつの歳になっても親は子供が心配なのよね。 |
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