大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
歯が痛い・歯が白い |
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私:今日は形容詞というよりは格助詞のお話。「が」の性質については明治時代から論じられてきた。 君:格助詞「が」ね。良い子の国語教室としては主語を示す格助詞。 私:「歯が白い」については問題ないが、「歯が痛い」が問題。痛いのは人間であって、歯そのものではないから。「僕は歯が痛い」と言うのが普通なので、主語は「僕」。「僕の歯が痛い」は日本語としてナンセンス。「君の歯が痛い事は僕はよくわかる」の場合は、やはり「君は歯が痛い事を」と置き換えてもいいだろう。やはり痛いのは人であって歯そのものではない。言い出しっぺは草野清民。帝国文学五巻五号。三上章論文「象は鼻が長い」、現代語法序説・刀江書院、も有名。「白い・長い」のような属性形容詞(客観的表現形容詞)、つまりは誰にも分る事を陳述する形容詞の場合は「が」は主格を表す格助詞で、情意形容詞「痛い」の主語は「僕は」で決定的であり、この場合の「歯が」は解釈が様々であるものの、対象語を示す格という点では文法家諸氏の間では概ね一致しているようだ。 君:なだたる学者の皆様がそれぞれ主張しておられるのよね。 私:そこで僕も持論をお披露目したい。といっても、つい先ほど思いついた名前だが。 君:ほほほ、世間様に恥をさらすだけよ。 私:そこはアマチュアの人畜無害な主張という事で勘弁してほしい。 君:オリジナルの名前ね。 私:勿論。 君:ネット検索しても出てこない名前ね。では、どうぞ。 私:限定格あるいは制限格。 君:うーむ、具体例がいいわね。 私:「僕は〜が痛い」という表現だが、身体部分のあらゆる部分を当てはめる事が可能だ。頭が痛い、手が痛い、お腹が痛い、等々。つまり幾つかの身体部分を表す語彙群の中でたったひとつを選んで、ピンポイントで痛い場所を示す表現が「〜が痛い」の言い方。痛い部分を限定ないし制限する機能があるね。 君:うーむ、一理はあるけれど、微妙。 私:上記の理屈は「歯が白い」にも当てはめる事ができる。「歯が白い」「髪が白い」「髭が白い」等々。従って左七理論の限定格あるいは制限格は、属性形容詞・情意形容詞の別なく当てはめる事ができる。つまりは実は「僕は歯が白い」も「僕」が主語ではないだろうか。言い換えれば「僕は歯のみ白い」と同じ意味でしょ。「のみ格」「オンリー格」なんてのもいいんじゃないかな。敷衍すると「ハとガの使い分け」という日本語の文法学の命題に行きつくと思うよ。数学の集合論で考えると簡単。「は」は全体集合で「が」は部分集合。全体集合は部分集合を内包する。 君:外国人に「ハとガの使い分け」は難しい。左七には「ハとガの使い分け」が面白い。つまりは左七君は昨日から格助詞「は・が」の事のみを考えていたのでしょ。ほほほ |
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