大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

形容詞の数

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私:お盆の休みは投稿が困難なので書きだめでもしようかと思い、もうひとつ記事を書こう。表題について。先ほどは十分ほどネットサーフィンをした。
君:日本語の形容詞の数ね。それはもう、他の品詞に比べたら少ないでしょうね。
私:外国人に教えるべき基本的な形容詞でもざっと数百といったところらしい。つまりは少ない。
君:品詞で圧倒的に多いのは名詞ね。
私:そう。普通の大人の日本人の日本語語彙といえば十万から二十万といったところだね。七割がたは名詞でしょ。
君:そんな事はいいから日本語の形容詞は幾つなの?
私:ATOK最新版には1302個のイ形容詞が登録されているそうだ。
君:今の時代は形容動詞の事をナ形容詞というのよね。
私:新選国語辞典(小学館)の第8版の形容詞は1076個、そして形容動詞は1752個。つまり形容動詞のほうが形容詞より多い。
君:千個以上といえば多いと感ずる人もいらっしゃるでしょうけど、実際は非常に少ないという事ね。
私:その通り。理由は二つ。ひとつは「い」で終わるという音韻上の制約。もうひとつは形容詞の構文的機能、つまりは事物の性質・状態や人の感情・感覚を示す機能、つまりは役割が限定されたものだからだね。
君:ひと言で言うと抽象概念を表す機能という事かしら。
私:まあそんなところだ。ところが実はもうひとつ、形容詞の語彙が他の語彙に比して少ない、という理由があると思うのだけれど。
君:つまりは、抽象概念を表す機能というものは形容詞の専権事項ではない、という事ね。
私:その通り。抽象概念の語彙って結構、多いと思うけれど、一部は状態名詞と状態動詞と名付けられる品詞に流れているんだよ。名詞というのは天下無敵のエースカードみたいなもので、その点、形容詞というのは機能限定カード。しかも三拍品詞、四拍品詞辺りに集中しているし、別稿の通りだが、二拍形容詞ともなると「ない・よい・こい」の三つだけ。つまりは、この事からでも言える事は?
君:ほほほ、小学生でもわかるわよ。他の二拍の語彙は皆、名詞と動詞に持って行かれちゃったから。
私:ご名答。人を愛さずにはいられない感情というものがあるが、あい、という形容詞ではなく名詞で表現する事を選んだ日本語。古語で形シク「はし愛」なんてのもあったんだがな。万葉集(4331)「・・・長き日(け)を待ちかも恋ひむはしき妻らは」。訳すと、長い日々を待ち恋うことだろうか、いとおしい妻たちは。
君:東歌ね。新妻を残して対馬へ向かった若い夫らの心情や如何に。泣けるわね。ぐすん

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