大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学 |
空間知覚(spatial perception) |
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私:「佐七君!」という言葉に気づき、ふと後ろを振り返ると君が立っていた・・・何て事が・・・あるわけないよね。 君:ええ、ないわね。 私:人間の耳というものは不思議だ。両耳で聴いていると、音源がどこにあるかがわかる。今日はそんな耳の話。 君:方言学どころか、音声学領域からも逸脱して脳科学の世界ね。 私:まあ、そんなところなんだが、早速にコンテンツ。空間知覚 君:視覚以外の感覚による空間知覚ね。 私:そういう事。・・・聴音源の定位に、聴覚皮質のニューロン活動が関わっていることが知られている。また、身体周辺空間の表現に関わる頭頂葉のVIPや腹側運動前野にも、聴覚刺激に反応するニューロン活動が知られている。聴覚皮質からの経路は、視覚と同様、頭頂葉を経由して背外側前頭前野に投射する経路と、頭頂葉は経由せずにそのまま吻側に向かい腹外側前頭前野に投射する経路の二つがあり、それぞれ空間知覚と音の持つ意味の処理をしていると考えられている・・・以上、抜粋。 君:何をわけのわからないことを。一言で要約して頂戴な。 私:聴覚野にも優位半球があると唱える一派がいる。dichotic listening method 即ち左右に別の音を聞かせ、どちらを認識しあるいは無視するかという非生理的な実験。佐七は懐疑的。現実の話をしよう。単一音源から耳への到達時間は左右で違うので、これが空間知覚のスタート地点だ。ただし、脳内にはヒトを囲む空間のイメージが必要で、それと照らし合わせて空間認知をする。この為には前頭葉の特殊な部位二つが必須の役割を果たしているという事。 君:あら、もっと簡単に要約できるわよ。両側頭葉の聴覚野の情報を前頭葉が瞬時に処理するという事じゃないの。 私:その通り。側頭葉で聴いて前頭葉で認知するという事だ。 君:側頭葉は何も考えていないのね。 私:そういう事。ただ聴いているだけの側頭葉。実はヒトは寝ていても常に側頭葉で聴き続けているという事もわかっている。 君:眠る、つまりは前頭葉がお休みするという事は側頭葉の情報が前頭葉に行かないように遮断しているという事なのね。 私:なんだ、わかっているじゃないか。人間は本当に寝ているのか、狸寝入りしていのか、微妙な差であって、本質的には両者の差は無い。つまりは、いざかいもちひせむ、高校古典、宇治拾遺、児(ちご)のそら寝。 君:それでも寝るためには静かな環境が必要ね。 私:勿論だよ。視覚の遮断も。寝る一時間前からはブルーライトカットにしよう。 君:脱線しすぎよ。聴覚による空間知覚のお話は? 私:Maps and streams in the auditory cortex: nonhuman primates illuminate human speech processing Nat Neurosci. 2009 Jun;12(6):718-24. doi: 10.1038/nn.2331. Epub 2009 May 26. 便利な世の中になった。 君:要約をお願いね。 私:はいはい、サルの聴覚実験では頭頂葉と前頭葉の関りが証明された。ヒトの言語も同じの可能性が高いという事。左右の耳からの情報だが、脳内ではくるっと右回り・左回りの二つの時間差を計測して空間知覚している、って事だな。 ![]() 君:音楽好きの人ってクルクルパーなのね。ほほほ |
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