大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 弁別的素性

approximants

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私:「approximants」の日本語訳は接近音(おん)。読んで字の如し。
君:気道の形状・機能を示すのよね。完全に開いていれば母音(いん)、閉じていれば閉鎖音・破裂音、僅かに接触すれば摩擦音、震えていれば顫動音(せんどうおん)とか。つまり摩擦音より開いた状態が接近音ね。
私:その通り。接近音と摩擦音には決定的な違いがあって、呼気の乱流だ。
君:ほほほ、なるほど。摩擦音にはあるけれど、接近音には無いのね。
私:うん。
君:という事は、母音と接近音の違いが実は微妙という事なのかしら。
私:まさにその通りだ。approximants の別名が frictionless continuant, semivowel, and glide 。音の差も微妙だし、言い方も様々という事。
君:抽象的な議論より、具体例がいいわよ。
私:英語なら we you look 辺りが approximants。日本語なら/ヤ/ /ユ/ /ヨ/。
君:日本語はヤ行全てというわけではないのね。
私:旧仮名の問題もあるね。その辺りはよくわからない。ヤユヨを硬口蓋接近音と言ったり、ワ行を両唇接近音と言ったり、両者を半母音という事もある。日本語の/イ/を硬口蓋接近音[j]、/ウ/を軟口蓋接近音[ɰ]、或いは両者を狭母音という事もある。
君:弁別的素性の機能としては、違った音に聞こえるかどうかが問題ね。
私:そうなんだよ。言葉の発声というものは極めてアナログ的かつ極めて微妙な作業だな。
君:つまりは人毎に、或いは同じ人ですら、微妙な発音の違い(半母音、狭母音、接近音)は有るわよね。ほほほ

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