大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学 |
音声学とは |
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私:二人の対話形式がすっかりスタイルになったので、ついでにという事で。 君:まずは音声学とはなにか、という事ね。 私:その通り。似た言葉が音韻学。ただし違いはあっても微妙な問題。音声学は国語学というよりは言語学からきている言葉だ。英訳だが音声学は phonetics、音韻学は phonology。 君:日本語に限って、という事で一言で簡単に説明してね。 私:はいはい。音韻学は音韻の学問、音声学は音声の学問なので、音韻と音声は何が違うか、という命題になる。音韻は言語音の機能面に着目して抽象化をおこなった場合の単位でなるべく大きくとらえる。甚だしくは文節とか副詞句とか。つまりはそこには言葉の意味論が加わる。その一方、音声学は専ら言語音の物理的側面に焦点をあて、音声をなるべく小さくとらえる学問。音声学は普遍的であり、世界中に通じる一つの音声学があり、尚且つ医学・耳鼻咽喉科学に通じる学問。その一方、音韻学は各言語に固有のものであり、文法・語誌と密接に関連している。つまりは音韻学は国語学そのもの。 君:light も right も日本語ではライト。これはどう説明するの? 私:英語の音声学ではlight と right は別の言葉。頭子音の違い。日本語の音声学ではlight と right の区別はなく、同じライトという音韻。 君:逆の例は? 私:日本語の音声学ではチーズと地図は別の言葉で音韻も異なるが、日本人が発声するチーズと地図は米国人には共に cheese に聞こえてしまい同じ音韻という事になる。 君:まあ、微妙と言えば微妙なお話ね。 私:国鉄高山線が開通した昭和初期に、鉄道駅が幾つもできたが、英語のステーションを飛騨の人達はいつのまにかステンショと言うようになった。これは音韻学の問題。裁判所、市役所などというから鉄道駅はステン所というわけだ。ションからショへと音韻変化があったというわけ。音声学的には子音「ン」の脱落。 君:どんな言葉も、音韻学的な変化と音声学的な変化、この二つがあるというわけね。 私:叫び声なんてのは音声学だな。日本人はアチッ!というし、米国人はアウチ!という。つまりは音韻学的にも、当然ながら音声学的にも違った音。心理学的には同じ感情なのにね。音声学は普遍的であり、世界中に通じる一つの音声学がある。それは医学、特に耳鼻咽喉科学、脳科学とくに小脳機能に密接に関係している。というかこれらの基礎学問がないと理解は難しい。 君:あなたは何でもかんでもそうやって好きなように解釈するのよね。やれやれ |
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