大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

HK相通(そうつう)

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私:HK相通はハ行音がカ行音に交替する事。土田吉左衛門・飛騨のことば、にある例としては、ふくむ含(くくむ)。
君:確かに共通語では、くくむ、とは言わないわね。
私:その通りだね。くくむ、は全国共通方言。含める、という共通語があるから、くくめる、という方言もある。但し、語誌的には、くくむ、が古いようだ。書記・天武元年七月(北野本訓)。平安文学辺りから、ふくむ・ふくめる、が出てくる。
君:なるほど、天武天皇だから律令制の導入、飛鳥浄御原令の制定、藤原京の造営、『日本書紀』と『古事記』の編纂。日本の始まりね。当時の音韻が平安の音韻、ふくむ、に駆逐される事なく各地の方言に残っているなんて驚異的だわ。
私:まあ、令和の現代となっては、くくむ・くくめる、共に死語でしょう。ただし土田吉左衛門・飛騨のことばに記載がある位だから、戦後あたりまで飛騨では使われていたようだ。他にも例があって、ふけ雲脂・頭垢(くけ)、がある。くけ、は古語辞典に出てこないので純粋なるHK相通、しかも俚言、といってもいいかもしれないね。これは案外、こけ、あたりの音韻からの発想かもしれない。
君:飛騨方言ではキノコの事をコケというのよね。 ほほほ

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