大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

NM相通(そうつう)

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私:NM相通とは、ナ行の音韻がマ行の音韻に変化する事。
君:母音の対応はあるのね。つまりは子音の交替と同じ意味よね。
私:その通り。例えばの話だが、泣く、という動詞を、巻く、と発音する事。重要動詞にこのような音韻変化が生ずる事は無い。子音交替が生ずるのは、多くは名詞だね。
君:例えば?
私:柳田國男、蝸牛考、がとてもいい例だ。カタツムリの事を飛騨方言ではマメクジラという。
君:いくら小さい鯨があったとしても豆鯨という言葉はないわね。それにカタツムリと鯨は形が似ても似つかないのだし。
私:要は飛騨方言ではナメクジの事をマメクジと言うんだよ。カタツムリとナメクジは軟体動物という共通項がある。ナメクジがマメクジラに音韻変化したという事。
君:なるほど。他の例は?
私:寝しな(=寝る間際)の事を飛騨方言では、ねしま、という。寝し間、の意味になっちゃったという事だよね。音韻交替である事は勿論、しな、が、ま間、に化けたのだから誤れる回帰という現象だ。
君:成るほどね。寝る、は重要単語なので、これが、める、に化ける事は無いのよね。動詞、というか用言は音韻交替は生じにくいのね。
私:おっとどっこい。そうとも言い切れないぜ。つねる抓、の事を飛騨方言では、つめる、という事がある。
君:なるほど。つめる詰、と言い間違えたという意味でしょ。つねる・つめる、は何か物体に対して外力を与えて変形させるという強烈な共通項があるのだし。 ほほほ

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