大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

SH相通(そうつう)

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私:SH相通は「し・ひ」の音韻対立。HS「ひ・し」の音韻対立は大雑把に東北関東は「し」で、関西が「ひ」という方言地図が描けるが、SH相通ともなると飛騨方言の独特の音韻の世界という感じになる。
君:それは容易に想像できるわ。
私:うん。早速に土田吉左衛門・飛騨のことば、にある例を紹介しよう。しかる叱(ひかる)、しく敷(ひく)、しつけ躾(ひつけ)、した下(ひた)、しつこい(ひつこい)。
君:あら、それだけね。あまり多いとは言えない数。それに死語ばかり。でも、しく敷(ひく)、これはさりげなく使っているわね。
私:そう。お里が知れる、ってやつだ。でも古語動詞に、ひく敷、があった。畳、或いは巻いてあるものを繰り広げる・張り渡す。曽丹集(平安末期)、深山には むらむら錦ひけるかと 見るにつけても 秋霧ぞ立つ。源氏・藤裏葉、あらはなるべき所には軟障(ぜんじゃう)をひき、いつくしうなさせ給へり。
君:あら素敵、王朝文学の音韻が飛騨方言にひっそりと生き残っていたのね。捨てたものじゃないわね。 ほほほ

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