大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

複合境界音調(BPM Boundary Pitch Movements)

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私:表題について、ネットに論文がある。日本語自発音声における複合境界音調と統語構造との関係 Journal of the Phonetic Society of Japan, Vol. 18 No. 1 April 2014, pp 57-69
君:簡単に一言で要約してね。
私:うん。日本語の自然言語、つまり会話、の文節は上がり調子が多いようだ。テレビ討論などを見ても、多くの話者の特徴のようだね。アクセントは各品詞に特有な音の上げ下げだが、それとは別に会話文全体の中で音調の上げ下げというものがある。
君:どうして一般的にそうなるのかしら。理由を考えてみたという事ね。
私:そうなんだよ。上がり調子だと、明るい会話に響くし、逆では怖い言い方になる。上がり調子だと、「お願いだからさあ、佐七の事をねえ、聞いてくれない?」で優しい感じ。逆に下がり調子だと、「いいか、よく聞け。一回しか言わないぞ。」で怖い感じ。
君:依頼文と命令文だから統語構造がそもそも異なるわね。
私:意外に思ったのは、日本語の文節って下がり調が一般的には考えられているんじゃないかなという事。音声学 phonetics では downdrift or downstep と呼ばれるもので、世界の言語は少なからずそうだと思うんだけれどね。青い海、なんて音声のトーンは、/o/ より /u/ が低くなるのが普通。つまりダウンドリフト。apanese Phonetics #6.3 (Sample Clip): The subtle drop in pitch!
君:個人の口調というものもあるわね。
私:それをいっちゃあおしまい。上がり調、下がり調の研究は多くない。これからも論文は出てくるだろう。downdrift の逆が updrift で、BPM は両者の弁別機能というわけだ。
君:イントネーションの事を言っているわけではないのね。
私:yes and no。一般的には accent < BPM <= intonation, i.e., word < phrase <= sentence。
君:口調は訓練で変える事が出来るから、上がり調が無難ね。ほほほ(updrift)

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