大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
直音 |
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私:今日の話題は直音(ちょくおん)。日本語の音韻は、直音・拗音・促音・撥音に四分類される。つまりは拗音・促音・撥音以外の音韻。具体的には新仮名遣いにおける仮名一文字で表記される音の事で、単母音の全て、単純な子音ひとつ+単母音の組み合わせ、この二つのパターンの音韻の事。 君:うーん、すっきりとした定義じゃないわね。 私:…今日,古代日本語の発音の実際に直接ふれることはもとよりできないが,直拗等の対立に対応する音声上の区別にはさして歴史的な変化はなく,古代から今日に至っているものとおもわれる。…ネット引用。 君:それとて、益々、頭を混乱させるだけよ。 私:そうだね。上代特殊仮名遣いの発見により、古代の音韻は現代の音韻とは異なっていたようだ。また逆に、古代はハ行がなくてパ行であったらしい。ハハ母、は古代日本語の音韻ではパパ、中古語では一時期に拗音化した事がありファファ、近世語以降はハハ。仮名表記一文字という定義からすると、中世の拗音は直音か、という可笑しな結論になる。 君:母音・子音といえば音声学の言葉じゃないかしら。 私:うん。冒頭の仮名一文字の定義こそ音韻学における定義で、続くのが音声学的な定義。 君:音声学は現代の科学、音韻学は国学の時代からあったのよね。 私:そう、平仮名・片仮名の発明と直音の概念は切っても切れない。悉曇輪略図抄(1287)、悉曇初心抄(1320頃)などが糸口になる。梵字(悉曇文字しったんもじ)の世界の事で、こうなってくるとお手上げ。直斎書録解題等の中国書籍からの輸入概念といってもいいのかな。ちなみに悉曇学とは、一切の文字に直音と拗音があるという抽象的な言語理論。 君:つまり現代国語学でいう所の直音とは似て非なるものといったほうがいいのね。 私:そう、良い子の方言教室では現代国語学だけで行きましょう。 君:現代国語学での定義、つまりは(子音がある無しにかかわらず)短母音で終わる音韻の事ね。 ほほほ |
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