飛騨方言は東京式アクセントに続し三拍形容詞のアクセントは二拍めになります。
そして意味を強調する場合には一拍目を長音にして言葉に情感を
与えるという話法がひとつの文法になっているようです。
飛騨方言語彙を発信する複数サイトにも同様の内容が記載されています。
さて、たかい・やすい、といえば唯単に値札の数字に気づいたというだけの事、
ものがよければ高いのは当たり前、品質が落ち量が少なければ
安いのは当たり前です。そして一方、飛騨方言で、たーかい・やーすい、という
場合ですが(か・す、がアクセント)、
とても高くて買う気がしないし負けてくれるなら買いたい・
こんなに安いのは極めてお値打ちであり売り手の心意気を感じてしまい是非とも買いますとも、
という形容詞に途端に変化するというわけです。
私がごとき庶民は高いのはよくない、安いほうが良いに決まっている、
と常日頃考えていると、ついつい、たーかい・やーすい、と言ってしまう事も
多いのですね。
さて、甘い、はどうでしょうか。甘党の方は、あーまい、といえば
見た目よりも甘くてとにかくこれは美味しい・素敵な味だ、という意味で使われるでしょう。
いっぽう、辛党の方が、あーまい、と言えば、多少甘いのはがまんして食べられるがこんなに甘いものは
食べられないし私は糖尿病でダイエット中だ、とでもいう意味になります。
同じ単語の強調形でも使い手の意思によって意味が逆転してしまうから、
やはり言葉遣いというものは大切です。
また例えば、高山市宮川の赤い中橋、どうでしょうか。真紅の橋です。
その赤い色に感動すると、あーかい中橋、とつい言ってしまうのです。
ところが赤い橋は全国のどこにでもある、この間塗り替えたばかりみたい
だけと別に橋の色は赤いのがいいと決まっているわけじゃないし等々思う人は、
あーかい中橋、とは言わないでしょうね。
また前述の中橋は真紅でこそ中橋と日頃思っている方でも、
例えば橋が徐々に色あせておりそろそろ塗り替えた方が
いいのにな、と思うのなら、つい言ってしまうでしょうね。
あの赤い中橋は、私はもっとあーかいほうが好きや。
しゃみしゃっきり。
|