大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

どんねもない

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私:表題の飛騨方言だが、意味は、どうってことない。
君:これは直訳できる問題ではなく、意訳という事よね。
私:その通り。今、巷(ちまた)では生成AIが話題になっているが、同じ手法で解析が可能だ。
君:ほほほ、手短にお願いね。
私:どんな事、なんて言葉からわかるように、どん、は方向を示す代名詞の不定称。そして、ない、は存在しない事を示す形容詞。だから問題は、ね、の音韻の解析という事に絞られる。
君:つまりは、この音韻のルーツを探れ、という命題ね。
私:そう。これはいたって簡単、共通語の助詞・助動詞にはない音韻。答えは、なに。
君:つまりは、どんなにもない。でも、意味が通らないわよ。
私:生成AIの理論でいこう。どんなにも、に続く言葉と言えば何?
君:例えば、どんなにも楽しかった(悲しかった)事でしょう。
私:その通り。この例は接続する後項成分が感情形容詞。他には?
君:どんなにも磨いても光らない鏡。つまりは、どんなにも、は用言の前項成分、つまり副詞句。
私:その通りだよ。だから、どんねもない、は、どんなにも難しい(つらい、いやな)事はない、という意味。
君:つまりは前項、真ん中、後項、の成分の真ん中が脱落した表現ね。
私:まあ、そんなところだね。せっかくだから、国語のおさらい。にも、は複合助詞である事ぐらいは誰でも思いつくが、これには二通りがある。
君:ああ、それはわかるわ。共通語の問題だから。ひとつは格助詞「に」+係助詞「も」のパターンね。あなたにも年賀状を送るわね、とか。
私:まあ、要らないけどな。お気持ちだけはありがとう。
君:もうひとつは断定の助動詞「なり」の連用形「に」+係助詞「も」のパターンね。にもかかわらず、とか。どんなにも嬉しかった事だろう、とか。
私:その通り。人間の言語脳にはこれらが詰まっているので、容易に意味が類推できる。要は、一つの単語の直後にどんな単語が続くのかを次々と予想していく。生成AI技術は人間の思考プロセスそのもの。
君:つまりは、飛騨方言・どんねもない、の解釈なんてどんねもない。 ほほほ

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