大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

やけ(無理難題、手荒、無遠慮)

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私:この飛騨方言は名詞。下一自「やける」の連用形。今回もメタ言語の話題かな。
君:飛騨方言独特の言い回しという事ね。
私:その通り。方言学の真骨頂という事か、具体語ではなく抽象語になるとひとつの単語が途端に多義語になるという例だ。小学館日本方言大辞典では、表題の意味では飛騨・岡山・香川・大分に文例がある。全国共通方言。つまりは言葉からの連想という意味ではこれらの地方では同じ発想で同じ意味が生まれた。
君:文例は?
私:「やけなこという人じゃ(土田吉左衛門・飛騨のことば)」。意味は、無理難題、手荒、無遠慮な事を言う人。
君:多義語についても一言、どうぞ。
私:はいはい。上記辞典だが、九つの意味の記載がある。焦げ、火傷、火傷の人、火事、朝焼け、色の悪い木材、子供の駄々、手荒、(やけに、の形で)強いて。
君:ほほほ、飛騨方言の意味は三つという意味ね。火傷、手荒、(やけに、の形で)強いて。つまり多義語なれど限定的ね。話変わって、やけ酒・やけ食い、と言えば自暴自棄。また逆に、やけふんべつ自棄分別は返って冷静になる事とか、共通語だってなかなか面白いわよ。ほほほ

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