大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
飛騨方言の理解に役立つか役立たないか微妙な古典文学 |
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雑兵物語 岩波文庫、リクエスト復刊。・・・足軽、草履取りなどいわゆる雑兵の巧妙談を基にした戦陣訓。全編が生き生きとした坂東方言で記載されており、関東方言の歴史理解のヒントが埋もれているという訳です。 おあむ物語 岩波文庫、リクエスト復刊。・・・おあむさまは関ケ原の合戦の時に豊臣方にて大垣城に籠りながらも脱出に成功、後世に体験を大垣方言で語るという書です。中世・近世の美濃方言の歴史理解のヒントが埋もれているという訳です。 おきく物語 岩波文庫、リクエスト復刊。・・・お菊さまは関ケ原の合戦の時に豊臣方にて大阪城に籠りながらも脱出に成功、後世に体験を語るという書です。正史に現れぬ大阪城の実際の様子が生々しく描かれ、読んで興味がわく書というわけです。 物類称呼、東条操校訂、岩波文庫1977第三冊・・・この本は江戸時代に出版されたわが国最初の全国方言辞典です。天地・人倫から動植物の呼び名、器物や衣食、言語等々よく分類整理され、俳諧や本草学とも関係深い諸です。歴史的仮名遣いも直ぐに慣れます。方言学のバイブルとでも呼ぶべき書。この本はとても飛騨方言の理解に役立ちます。私の収穫としては、飛騨方言「まちょうな」は「まてなり」に由来するのでは、と言う発見があり、感激ものでした。 東海道中膝栗毛(下)、ワイド版岩波文庫、岩波書店、2002第一刷・・・東海道の街道沿いの方言の記載があり、江戸時代の尾張方言の研究に役立ちます。名古屋の方言文末詞「〜なも」ですが、同書には「〜なもうし申」の記載があり、「〜なも」は「〜なもうしそうろう」の短呼化である事がわかります。 飛騨匠物語(ひだのたくみものがたり)・六樹園作・絵本玉藻譚(たまもばなし)・岡田玉山・・・六樹園は江戸時代の狂俳家・宿屋飯盛の別名です。奇想天外な飛騨匠物語のストーリーにて抱腹絶倒の内容ですし、古典というよりは近世語による小説で、おまけに丁寧な事に須永朝彦訳が付き、といっても難解語句に注のみ、ですから容易に読む事が出来ます。但し、残念な事に飛騨方言は一切、出てきません。悪しからず。お暇な一日の暇つぶしにお読みくださいませ。 |
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