我が家は浄土真宗ですが、小さい時にはとにかく、お経(正信偈)の長いのに困りました。
意味もよく解りませんでした。
中夏日域之高僧 って、ああ 中華ラーメンともいうから、
中国から仏教が伝わってきたということだろうとは思っていました。
中学の日本史で、源信、源空が出てきますと、おっ出た、と思ったものでした。
高校に入り漢文を習うと少し意味も解読できてきました。
まだ十分に理解できたとはいえませんが、私なりに簡略して飛騨方言訳をしてみました。
詳しくは真宗大谷派(東本願寺)ホームページへどうぞ。
難しい仏教語については割愛させていただきます。大意を一言で書きますと、
お釈迦様のお教えのエッセンスとそれを世に広めた
七賢人(龍樹、天親、曇鸞、道綽、善導、源信、源空)らについて書かれています。
正信偈
歸命无量壽如來 無量寿如来に帰命してえな、
南无不可思議光 不可思議光に南無するんやさ。
法藏菩薩因位時 法蔵菩薩ぁ因位なさった時なあ、
在世自在王佛所 世自在王仏の所にござって、
覩見諸佛淨土因 諸仏の浄土の因やら、
國土人天之善惡 国土人天の善悪を覩見してえな、
建立无上殊勝願 無上殊勝の願を建立してえな、
超發希有大弘誓 希有の大弘誓を超発なさったんやさ。
五劫思惟之懾受 五劫もこれを思惟して摂受されたんやさ。
重誓名聲聞十方 重ねて誓うにゃ、名声ぁ十方に聞こえよってな。
普放无量无邊光 あまねく無量・無辺光でなあ、
无碍无對光炎王 無碍・無対・光炎王でなあ、
清淨歡喜智慧光 清浄・歓喜・智慧光でなあ、
不斷難思无稱光 不断・難思・無称光なんやさ、
超日月光照塵刹 日月光を超えてまって、塵刹を照らすんやさ。
一切群生蒙光照 一切の群生ぁ、光照を蒙るんやさ。
本願名號正定業 本願の名号ぁ正定の業なんやって。
至心信樂願爲因 至心信楽の願(第18願)を因とするんやさ。
成等覺證大涅槃 等覚を成って大涅槃を証するこたあ、
必至滅度願成就 必至滅度の願(第11願)の成就やさ。
如來所以興出世 如来が世に興出しはったゆゑはえな、
唯説彌陀本願海 ただ弥陀の本願海を説くためやさ。
五濁惡時群生海 五濁悪時の群生海やけど、
應信如來如實言 如来如実の言を信じにゃだしかん。
能發一念喜愛心 一念喜愛の心を、よう発すりゃ、
不斷煩惱得涅槃 煩悩を断ぜんでも涅槃を得れるんやさ。
凡聖逆謗齊廻入 凡聖も逆謗もみんなぁ回入すりゃあ、
如衆水入海一味 衆ぁ水海に入って一味なるがごとしやさ。
攝取心光常照護 摂取の心光ぁ常に照護しなはるんやさ。
已能雖破无明闇 とっくに、よう無明の闇を破すんやけどな、
貪愛瞋憎之雲霧 貪愛・瞋憎の雲霧ぁ、
常覆眞實信心天 常に真実信心の天を覆ってまうんやさなあ。
譬如日光覆雲霧 たとえやぁ、日光ぁ雲霧に覆わるれけどえな、
雲霧之下明无闇 雲霧の下ぁ明らかでなあ、闇ぁないんやさ。
獲信見敬大慶喜 信を獲て見て敬って大いに慶喜すりゃあ、
即横超截五惡趣 すなわち横に五悪趣を超截するんやさ。
一切善惡凡夫人 一切善悪の凡夫人ぁ、
聞信如來弘誓願 如来の弘誓願を聞信すりゃ、
佛言廣大勝解者 仏ぁ、わりゃ広大勝解の者やぞって言わはるさ。
是人名分陀利華 この人を分陀利華と名づけるさ。
彌陀佛本願念佛 弥陀仏の本願念仏ぁ、
邪見驕慢惡衆生 邪見・きょう慢の悪衆生にゃ、
信樂受持甚以難 信楽受持するこたあ、はなはだもって難しいもんや。
難中之難无過斯 難の中の難やぞ、こんね難しい事ぁねえぞ。
印度西天之論家 印度や西天の論家やら、
中夏日域之高僧 中夏(中国)・日域(日本)の高僧ぁ、
顯大聖興世正意 大聖(釈尊)興世の正意を顕してえな、
明如來本誓應機 如来の本誓ぁ機に応ぜることを明かさたんやさ。
釋迦如來楞伽山 釈迦如来ぁ楞伽山でなあ、
爲衆告命南天竺 衆のために告命なさったんやけど、
龍樹大士出於世 南天竺(南インド)に龍樹大士ぁ世に出でてな、
悉能摧破有无見 ことごとく、よく有無の見を摧破せるってよ。
宣説大乗无上法 大乗無上の法を宣説してえな、
證歡喜地生安樂 歓喜地を証して安楽に生ぜんてこっちゃさ。
顯示難行陸路苦 陸路ぁ苦しい難行やあって顕示してえな、
信樂易行水道樂 水路ぁ楽しい易行やあって信楽せらはったんやさ。
憶念彌陀佛本願 弥陀仏の本願を憶念すりゃ、
自然即時入必定 自然に即時に、必定に入るんやさ。
唯能常稱如來號 ただ、よう常に如来の号を称してえな、
應報大悲弘誓恩 大悲弘誓の恩を報ずるんやぞっていわたんや。
天親菩薩造論説 天親菩薩ぁ浄土論を造って説かさって、
歸命无碍光如來 無碍光如来に帰命したてまつらはったさ。
依修多羅顯眞實 修多羅に依って真実を顕してえな、
光闡横超大誓願 横超の大誓願を光闡せらはったんや。
廣由本願力廻向 広う本願力の回向に由ってなあ、
爲度群生彰一心 群生を度すために一心を彰せらはったんや。
歸入功徳大寶海 功徳大宝海に帰入すりゃあ、
必獲入大會衆數 必ず大会衆の数に入れるってことを獲たんやさ。
得至蓮華藏世界 蓮華蔵世界に至ることを得りゃ、
即證眞如法性身 すなわち真如法性の身を証せしむってこっちゃさ。
遊煩惱林現神通 煩悩の林に遊んで神通を現じてえな、
入生死薗示應化 生死の園に入って応化を示すっていわたんや。
本師曇鸞梁天子 本師曇鸞をなあ梁の天子ぁ、
常向鸞處菩薩禮 常に鸞のところに向かってや菩薩と礼したてまつらたさ。
三藏流支授淨教 三蔵流支ぁ浄教を授けてな、
梵燒仙經歸樂邦 仙経を梵焼してまって楽邦に帰せらはったさ。
天親菩薩論註解 天親菩薩の『論』を註解してえな、
報土因果顯誓願 報土の因果誓願に顕されたんや。
往還廻向由他力 往還の回向ぁ他力に由るんやさ。
正定之因唯信心 正定の因ぁただ信心なんやさ。
惑染凡夫信心發 惑染の凡夫ぁ信心発すりゃ、
證知生死即涅槃 生死ぁ即ち涅槃やぞって証知せらはったさ。
必至无量光明土 必ず無量光明土に至りゃ、
諸有衆生皆普化 諸有の衆生ぁみんなあまねく化すといわさった。
道綽決聖道難證 道綽ぁ聖道の証しがたいことを決してなあ、
唯明淨土可通入 ただ浄土に通入せにゃ、って明かさはったさ。
萬善自力貶勤修 万善の自力、勤修を貶するんやさ。
圓滿徳號勸專稱 円満の徳号、専称を勧められたんや。
三不三信誨慇懃 三不三信の誨ぁ慇懃やさ、
像末法滅同悲引 像末法滅同じゅう悲引せらはったんや。
一生造惡値弘誓 一生悪を造ってもえな、弘誓に値すりゃあ、
至安養界證妙果 安養界に至って妙果を証せしむってこっちゃさ。
善導獨明佛正意 善導ぁ独り仏の正意を明らかにしはったさ。
矜哀定散與逆惡 定散と逆悪をこう愛してなあ、
光明名號顯因縁 光明・名号因縁を顕さはったさ。
開入本願大智海 本願の大智海に開入すりゃあ、
行者正受金剛心 行者ぁ正しゅう金剛心を受けてなあ、
慶喜一念相應後 慶喜の一念相応して後にえな、
與韋提等獲三忍 韋提と等しゅう三忍を獲てえな、
即證法性之常樂 即ち法性の常楽を証せしむっていわはった。
源信廣開一代教 源信ぁ広う一代の教を開いで、
偏歸安養勸一切 偏に安養に帰して一切を勧めらはった。
專雜執心判淺深 専雑の執心、浅深を判じてえな、
報化二土正辨立 報化二土正しゅう弁立なさった。
極重惡人唯稱佛 極重の悪人ぁただ仏を称ずるんやぞ。
我亦在彼攝取中 おりぃもまた彼の摂取の中にあるんやが、
煩惱障眼雖不見 煩悩ぁ眼を障えてまって見れんってっても、
大悲无倦常照我 大悲ぁ倦きこと無う常におりぃを照らすんやさ。
本師源空明佛教 本師源空ぁ、仏教を明らかにされたんやが、
憐愍善惡凡夫人 善悪の凡夫人を憐愍せらはって、
眞宗教證興片州 真宗の教証を片州に興せらはって、
選擇本願弘惡世 選択本願を悪世に弘めらはったんやさ。
還來生死輪轉家 生死輪転の家に還来するってこたあ、
決以疑情爲所止 決するにゃ疑情をもって所止とするんやさ。
速入寂静无爲樂 速やかに寂静無為の楽に入るこたあ、
必以信心爲能入 必ず信心をもって能入とすっていわさったさ。
弘經大士宗師等 弘経の大士やら宗師等ぁ、
拯濟无邊極濁惡 無辺の極濁悪を拯済せらはった。
道俗時衆共同心 道俗時衆共になあ、心を同じゅうして、
唯可信斯高僧説 唯この高僧の説を信じにゃだしかんさ。