全国の皆様ともなると、岐阜県は南で平野部の美濃地方と北部で山間部の飛騨地方の二つに分かれている事はご存知でも、美濃方言と飛騨方言に微妙な差がある事などご存じないと思います。言い換えれば、微妙な差という事は差がほとんど無いとも言い換えられ、二つの方言を合わせて岐阜方言と言ってもあながち間違いではないでしょうね。ただし私のように生まれも育ちも飛騨の人間が岐阜方言という言葉を聞いて感じてしまう事は、岐阜方言とは岐阜市を中心とした方言であり、岐阜方言と飛騨方言は違いますよ、というような考えになってしまうのですが、また方言学では、そのわずかの差をことさらに突っ込んで議論する学問のようで、ある意味、こっけいとも考えられますね。
戦前までの話し言葉ならいざ知らず、現代では県境すら文化的にはボーダレスの時代ですから、筆者も今後は岐阜県の方言という意味で岐阜方言という言葉を使っていこうかな、と考えています。ひとつには岐阜県の人口分布です。ざっと二百万人の岐阜県人口ですが、飛騨地方は県の面積の半分を占めるにもかかわらず、高山市9万人弱、飛騨市2.5万、下呂市3.3万人、白川村2000人弱、つまりは合わせて15万人前後、言い換えれば県人口の8%前後しか住んでいない現況ですし、しかも高速道路、鉄道により岐阜市と高山市は密接につながっています。
今回の動画も、飛騨方言もほとんどこんな感じ、という事で楽しんでいただいて構わないと思います。ただ、一点だけコメントさせていただきますと、『そっかわかったで』の言葉は『そっかわかったさ』と言い換えれば、これはもう明らかに飛騨方言という事になり、飛騨方言は文末詞・さ、を頻用するのが特徴です。岐阜市では『岐阜なんやて』といい、高山市では『高山なんやさ』というのです。
飛騨地方は県人口の8%の悲しさ、人材不足ですかね。かつては高山市には、飛んでる男のだしかんソング、温泉スパマンのそしゃそやうぇい、と言う方言の名歌があったのですが、私は最近は飛騨出身の(方言)ミュージシャンは聞いた事がないのですが。
岐阜市辺りの方言 高山市辺りの方言 岐阜県の方言
『なんやて』 『なんやさ』 『なんや』
『わかったで』 『わかったさ』 『わかった』
『ゆっとらへんやん』『ゆっとらんさ』 『ゆっとらん』
『でーれ』 『でーれ』 『でーれ』とても
『てまう』 『てまう』 『てまう』
『かたまっとるもん』『かたまっとるもん』『かたまっとるもん』
『ないやんか』 『ないんやさ』 『ないんや』
『そんなら』 『そんなら』 『そんなら』
『なんやの』 『なんやの』 『なんやの』
『えらい』 『えらい』 『えらい』つかれる
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