大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

三河ことば・じゃん

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この記事は 2008/5/12 深夜に書いています。最近は当サイトを、ついつい、おさぼりしていますが、あれこれ書ききってしまった感じで、そろそろねた切れです。やはり故郷を離れていて飛騨方言を使っていないと、段々と忘れてしまうのです。

前置きはさておき、たった今メールチェックしていたら、ある方から下記のようなメールをいただきました。
大西佐七のザ・飛騨弁フォーラムをよく拝見させてもらってます。素朴な疑問なんで すがちょっと気になった事があります。会話の中で”〜じゃん”と使う人もいれば"〜やん”と使う人もいます。飛騨方言ではどちらの表現が正しいのかいつも気になってます。ホームページでこの事を取り上げてもらえると嬉しいです。妙に気になるので。(原文のまま)
実は、〜じゃん、という言い回しは飛騨方言ではありません。三河弁です。愛知県のことばです。有名な話題であり、つまりは方言学という国語学の学問分野では常識的な事であり、著書も多いのです。

硬苦しい事はやめにして、例えば文庫本の
井上史雄、日本語ウォッチング、岩波新書、2005年10刷
 ら抜き言葉、じゃん言葉、新ラ行五段、東京語の底流、
 新しい方言の広がり、敬語の最前線、気になる口調、
 衰退するガ行鼻濁音、アクセント平低化の歴史、
 言語変化の雨傘モデル
などがお勧めです。従って、この記事は井上先生のご業績の紹介という事で、私のような素人に方言学を語る資格はありません。

さて、〜じゃん、というのは、〜じゃないか、が詰まった言葉である事は言うまでも無いですね。 砕けた言い方ですが、言いやすく、わかりやすく、つまりは戦後に東京ではやりだしたのです。そしてマスコミの影響で全国で使われるようになった、という言葉です。

ですから、飛騨で、じゃん言葉が使われるのはマスコミの影響であり、使われだしたのはつい最近という事なのです。例えば結構な大人の方、五十代の方が使っているにせよ、飛騨方言ではありません。テレビの影響が大でしょう。つまりは三河からはるばる直接に伝播したわけではありません。かくして、ジャン言葉が東京で使われるようになった瞬間から、もはやこの言葉は三河方言ではなくなり、少しくだけた言い方・つまりは俗語、言い換えれば全国の言葉、という事になったのです。

"〜やん”も飛騨方言とは到底、考えられません。関西系の言葉です。強いて言えば大阪方言。つまりは、元々は三河弁・”〜じゃん”、関西方言・"〜やん”に対する飛騨方言は、"〜やさ"なのです。

早い話が、飛騨方言で結論を書きますと、ジャン言葉は三河弁なんやさ。ヤン言葉は関西方言なんやさ。

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