大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

疲れたらSAで休んでいきないよ

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金沢へ出張しました。 飛騨方言の取材のつもりもあって普段は鉄道ですが車にしました。 東海北陸自動車道の美濃加茂ICで高速道路に入って郡上を越えて荘川ICで降ります。 庄川に沿って一般道をくだり、白川村に着き、再び東海北陸自動車道入り、 砺波平野へ抜け、金沢を目指したのです。 日本有数の方言境界線である白山・養老山脈線の旅です。

やはり、早速ですが、郡上を過ぎて、荘川にいたるとサービスエリアの手前の陸橋に 大きな表示がありました。
疲れたらSAで休んでいきないよ
なんと飛騨方言でした。疲れたら休んでいきなさいよ、 という意味です。でも飛騨方言の話者にとっては ありきたりの表現なので面白くは無いでしょうね。

高速道路というのは地元の人の生活道路ではありません。 大半は他所からの旅行者でしょう。一瞬の掲示に、 おっ飛騨方言か、と思わせる為のキャッチコピーに 間違いないでしょう。

蛇足ですが、これは飛騨方言の女言葉です。男ならやはり、 休んでいけよ、でしょうね。でもぶっきらぼうな言い回しで ある事は誰にもわかる事なので、〜いきないよ、の方が 優しい雰囲気がでているでしょう。隣県・石川方言ならばさしずめ、 いきまっし、となる所でしょう。これは、いきなさいまし、の 詰まった言い方でしょうね。 石川方言を知らない筆者にも丁寧な感じはわかります。

郡上の方々はご自身の言葉は郡上弁であり、飛騨方言ではない とお感じでしょう。しかし何分にも荘川・郡上は目と鼻の先、 今や高速道路で数分です。このような飛騨方言は郡上の人々にも 通づるでしょうね。

さて、
疲れたらSAで休んでいきなよ
であれは、これは最早、飛騨方言ではありません。 休んでいきな、にして然り。飛騨人には、東京語の ぶっきらぼうな言い方、あるいは東京のいなせな言い方 に聞こえるでしょう。

あるいはこうも考えられるのです。東海北陸自動車が完成して 高山と岐阜の距離が断然、近くなりました。 とんでもない便利な時代になったのです。 高山を高速道路が走るなんてネエ。 平安時代に飛騨から京の都まで幾日もかけてテクテクと 歩いた飛騨工が知ればびっくり仰天でしょう。 毎日のようにこの道路を利用する飛騨人もいらっしゃいましょう。 だからこその表示なのでしょう、おそらく。 数十分も走れば一騎に高山に到達できますが、 やはり小休憩の勧め、という事なのでしょう。 佐七も一言、
これ、あんた高山の人やろ、ちゃんと休んでいきないよ。わかったけな。
老婆心からという事で。

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