大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

ごじゃっぺ(馬鹿・間抜け、茨城)

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私:家内が常に私を支えてくれている。
君:ほほほ、おのろけですか。
私:どうぞ、ご自由にご想像を。新聞、テレビ等、マスコミ情報については家内の方が敏感な面もある。茨城県の名産品、歴史、方言などをふんだんに盛り込んだ漫画「だっぺ帝国の逆襲」小学館が話題だそうだ。
君:奥様はコミックなどお読みになるのかしら。
私:専らハーレクインだけどね。新聞記事を見て教えてくれた。
君:茨城は訪問なさったのね。
私:筑波大学にちょくちょく用事があって。古い話だが。オートバイのソロツーリングでも何回か素通りはしている。
君:「だっぺ」の語源が問題よね。
私:これは簡単。「関東べい」といって坂東方言、つまりは関東平野の特徴。語源は「べし」、従って「だっぺ」は「であるべし」の音韻変化だ。これも古い話になるがスマップの中居君が「そうだべ」などと話していた事をご記憶の方もあろうかと思うが、神奈川県あたりの方言だ。「だべし」が茨城県では促音便になって「だっぺ」になったのだろう。ついでに問題となるのが件の新聞記事で紹介される茨城方言「ごじゃっぺ」。意味は表題の通り。
君:罵詈雑言というわけね。
私:そう、最近、罵詈雑言辞典を二冊買い求めたが有用情報は得られなかった。なんといっても小学館・日本方言大辞典全三巻だ。特に戦前までの伝統方言は網羅的に記載してあるので。
君:それで、そこには記載があったのね。
私:ああ、あったとも。みだしは「ごじゃ」。全国の方言になっているし、各種の音韻変化も。茨城「ごじゃっぺ」は文例もあった。
君:あら、そうすると「だっぺ・ごじゃっぺ」の共通音韻「ぺ」は語源が異なるという意味ね。
私:ははは、気づいたかい。その通りだね。「だっぺ」は「であるべし」の派生だから、こちらの「ぺ」は何の事は無い、形ク活用型助動詞「べし」が語源。そして「ごじゃっぺ」の「ぺ」は名詞につく接尾語であり、「ごじゃ(馬鹿)」+「へい兵・平」という事になる。
君:後者に関しては、口語でも「言い出しっぺ」などというわね。
私:その通り。問題は「ごじゃ」の語源たが、不明と言わざるを得ないが、傑作なネット情報としては「誤じゃ」の転、というのがあったな。
君:発想としてはいいんじゃないのかしら。いくら考えても結論は出ないのだし。
私:一説、とでもいっておこう。僕は「ごじゃ」はオノマトペ「ごちゃごちゃ」からきた言葉じゃないかと疑っちゃうね。江戸時代に登場した言葉だ。江戸時代だが「ごちゃくちゃ」とも言われていた。自サ四「ごちゃまかす」という動詞もあった。方言辞典の記載の続きだが、実は茨城の音韻には「ごちゃ・ごじゃ」の二つがあるんだ。
君:あら、それなら「ごちゃ」から「ごじゃ」、そして誕生したのが「ごじゃっぺ」という事が丸わかりじゃないの。
私:そうなんだよ。但し、如何にもありそうな説、という事であって、何分にも推測の域を出ない。
君:でも、「誤じゃ」の転という説よりは、余程まともな推論ね。
私:今日の結論だが、「誤じゃ」だって?!そりゃごじゃっぺだっぺ。気分は茨城県民だ。イェーイ
君:めちゃくちゃを滅茶苦茶と漢字表記するから、「誤在如何、其苦茶兵在応」というところかしら。ほほほ

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