大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

便がであんと

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佐七:今、仕事の合間ですが、こうやって情報発信しています。
読者:ご苦労様です。筆まめですね。
佐七:というか、物忘れが始まる年齢になっていまして。便利のためにパッと書いておかぬと。
読者:ははは、まずは伏線ですか。では続きをどうぞ。
佐七:さっき、診療所の医師という仕事柄ですが、大正三年生まれの女性と会話をしました。生まれも育ちも三重県伊勢市です。
読者:それで、あれっ、と思われた言葉は?
佐七:話題はお通じです。"便がであんと"といわれたのです。
読者:なるほど、どういう意味ですか。
佐七:私が伊勢方言を知る由もありません。がしかし、会話の流れから、便が若し出ないと、という意味でお話しくださった事は明らかでした。誰でなくともその場で瞬時に判ります。
読者:そうでしょうね。でも、であんと、の語源はなにかな、と、すぐに精神不穏に陥ってしまわれたのでしょ。
佐七:ははは、そんな所ですね。
読者:でも、ちょいと数分ネット検索をして直ぐに答えを得たのでしょ。
佐七:ふふふ、そうなんですよ。まずは、であんと、便がであんと、等々でネット検索、ところがヒットゼロ。かえって色めきたちました。
読者:まさか、国語学上の発見ですか。
佐七:かもね。すかさず、何か別の言葉で検索しないといけませんが、三重県の友人数人に私の脳みそのなかにご登場願い、内省実験です。どうもお婆さんのおっしゃった伊勢弁は、でやんと、の事のようですね。
読者:よく気がつかれましたね。早速、でやんと、でネット検索されたのですね。
佐七:ええ、数分ほど。途端に情報てんこ盛りです。
読者:古語辞典は?
佐七:ははは、今、まだ仕事の合間なんですよ。語源は・・・でやらぬと、でしょうね。
読者:なるほど、ぴったりですね。
佐七:伊勢市、というか三重県の方は大半が、でやんと、を現在お使いなのでしょうね。ところが大正生まれのこの方が、であんと、を佐七の前で使い始めていらっしゃるのです。驚きでした。
読者:まさに進化しつつある伊勢方言、これを飛騨方言話者の佐七さんは瞬時に感じた。やはり国語学上の発見でしょうか。伊勢方言における語中のY音の脱落、ですね。

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