小村寿太郎といえば日本史・ポーツマス条約、に出てくる人物ですが、
宮崎県日南市飫肥(おび▼○)の出身である事は
あまり知られていないでしょう。
実は飫肥に彼の偉業をたたえる立派な記念館があり、
うーむ何年か前に訪れた事があります。
ただし世の中には旅行好きという人は多い、ですから飫肥の小村記念館
の事を筆者がここであれこれ書く事もありません。
それでも私がわざわざお書きしたいのは、
やはり宮崎方言についてです。
筆者が忙しい貧乏旅行で館内にいたのは二時間ばかりでしたが、
館内のAV展示で寿太郎の竹馬の友役が語る宮崎弁に
私はじいっと聞き入る機会を得ました。
子役は小六前後の男子。方言指導があったのでしょうか。
東京と京都ではアクセントがあべこべ、飛騨は純東京組で
生き生きとしたアクセント言語世界に生きています。
そして音韻の教科書をみますと福島、宮崎、熊本あたりが
無アクセント地帯と書きなぐられているにつけ、宮崎県では
今はいざ知らず明治うまれの古老の方はロボットのような
話し方をしていたのであろうか、というとんでもない誤解が
無い事を祈ります。
飛騨は東京式ですから、箸▼○と端○●と橋○▼、のアクセントは
これら単語が文のどこにあろうが、文が疑問文であれなんであれ
絶対に変わりません。
それの裏腹が飫肥方言と言う事で楽しいAV展示鑑賞のひとときでした。
例えばそれを飛騨方言で話せば
飫肥方言 飛騨方言
じゅたろう、・・ じゅたろう、・・
○ ○○▼ ○●●●●
じゅたろうは、・・ じゅたろうは、・・
○ ○○○▼ ○●●●●▼
じゅたろうこそ、・・ じゅたろうこそ、・・
○ ○○○○▼ ○●●●●▼○
じゅたろうこそは、にほんの じゅたろうこそは、にほんの
○ ○○○○○▼ ○○○▼ ○●●●●▼○▼ ○▼○▼
という事のようでした。
飛騨方言では単語ひとつひとつに固有・不動の
ピッチアクセントがありますが、
確かに宮崎方言にはそれがありません。
変わりに存在するアクセントというのは語の
一番最後の拍が必ず高い、という決まりです。
従って音節の切れ目は極めて明らかです。
ですから日本人同士だから当たり前の事、
無アクセントの宮崎方言は思いの外、
聞きやすいのです。
日本人ならば同音異アクセントの言葉の取り違えが、
実際に生ずる事など会話の流れで有りうべくも
ありません。
会話において最も大切な事はアクセントが
東京式に一致するのかどうかなどという
些末な事ではなく、そもそも話している
内容そのものでしょう。