大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路 |
八重山(石垣) アンパルヌミダガーマユンタ |
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私:家内と二人、観光目的で石垣島を訪れた。中部国際空港から直行便、那覇空港を経由しないので岐阜県から身近な島に感じたな。目的の一つはユネスコ指定絶滅危惧言語に触れてみたいという事。 君:ほほほ、念願かなって表題は石垣島の方言という事ね。 私:正確には八重山方言での民謡の表題です。 君:意味は? 私:実は素人もいいところで、初めて知った言葉なので、若し間違っていたら御免なさい。アンパル(網張)のミダガーマユンタ(目高蟹)、という意味らしい。 君:なるほど、網張と言う場所に住む目高蟹ね。表題はともかく、民謡の歌詞は? 私:ネット記事が少ないが、例えばここ、dead link115.31.195.15/100000/100500/ishigaki_fuukei_rekishi/120.html 〜石垣島の風景と歴史〜120.アンパル。発信者は石垣市教育委員会市史編集課なので、確かな情報だと思う。 君:アンパル(網張)について簡単に説明してね。 私:その前に。石垣島といっても広い。観光スポットは点在しているのでレンタカーは必須。予約していてよかった。まずはひたすら海岸線ドライブを楽しもう、と思い、二人は時計まわりにドライブした。名蔵アンパルなる道路案内を発見。西表石垣国立公園という事を知った。駐車場の看板にこの民謡が書かれていた。アンパルは名蔵川河口の広大な干潟の事。 君:民謡の意味を簡単に説明してね。 私:はいはい。この干潟には夥しい動植物が生息、植物はマングローブ、動物は鳥と魚介類。民謡は目高蟹を干潟の主に見立て、15種類の使用人の蟹が次々と現れ、宴会が開かれるというコミカルな内容。 君:ほほほ、生物多様性という事ね。 私:民謡の歌詞の事で夢中になり、肝心のマングローブの干潟をあまり見てこなかった。 君:あなたらしいわね。 私:日琉祖語とはよく言ったものだ。本土方言と基本文法が一致している事がわかる。音韻変化もなんとなくわかる。所有格の格助詞「の」は八重山方言では「ぬ」であるとか、「AぬB」は「AのB」と同じ意味であるとか。 君::ほほほ、「右側主要部の法則」 (Righthand Head Rule) (Williams 1981)。日本語だもの。格助詞が意味があるというよりは左が上位語で右が下位語。網張ヌ目高蟹は、畢竟、網張目高蟹と同じね。 私:まあそんな感じだね。僕の名前は大西家の左七だが、大西佐七とも言う。それに小学生でもわかる理屈、「かに蟹」の事を八重山では「かん」という。これを日本語と言わずして何という。 君:なるほど。八重山では子音が脱落したのね。日琉祖語には i の音素が存在したのだわ。 私:まあそんな感じだね。同じ日本語なんだあ、と思うと愛おしいね。こんな図もある。 ![]() 君:安里進著「考古学からみた琉球史 上」ね。 私:素敵な図だ。アイヌ方言、本土方言、南西諸島の方言、この三つに分かれたのはどうも縄文時代らしい。 君:こうなってくると本土方言の中の違いなど、議論に値しないわよ。 私:ははは、挑発かい。本心じゃないくせに。 君:ええ、勿論よ。私が本当に言いたい事はわかるわよね。 私:うん。つまりはアイヌ方言と南西諸島の方言、これらも理解しないと本当に国語を理解した事にはなりません。国語学者の必須の知識。 君:民謡が手っ取り早いわね。貴方にとっては突破口かも知れないわ。じゃあ、石垣島一周ドライブを楽しんでね。ほほほ まとめ 素人考えで恐縮ですが、アンパルの漢字表記は後世の当て字でしょうか。「ぱる」と言えば九州・沖縄に多い「〜ばる原」と同根なのでは、と思ってしまいます。若し間違っていたらゴメンネ。 |
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