大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

八丈方言

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私:念願かなって八丈島に行く事が出来た。
君:船で?遠かったでしょう。
私:いや、羽田からジェット機で小一時間の旅。小さな島だが、島を分断するような形で飛行場がある。
君:伊豆諸島というけれど、東京都なのね。
私:徳川時代に幕府の直轄、つまり天領になった。宇喜多秀家はじめ関ケ原の西軍方武将達の流刑地として有名。古くは源為朝の流刑の事が保元物語に記載されている。
君:八丈島は万葉方言の島として有名だわ。万葉集に八丈島の記載はないのかしら。
私:島に残るのは島ことばと伝承のみ。書物は一切無い。万葉方言は確かに最有力仮説だが、島ことばと万葉集の東歌との相似性から来たひとつの仮説にすぎない。但し、島にはゆるぎない物的証拠というものがある。太古から日本人が住んでいた事は間違いないんだ。何か所も縄文遺跡が見つかっているよ。
君:南西諸島の言語、八重山とか、と八丈方言はどちらが古いのかしらね。
私:おそらく八重山。日琉祖語という学術語がある位だから、八丈方言は本州方言の一部だが、最古の形を留めている事は間違いない。
君:つまりは peninsular Japonic に繋がる八丈方言なのね。島の旅行中に八丈方言は聞けたの?
私:ああ。島は八丈町が独占的に観光業を営んでいる。バスガイドさんも町職員。島ことばの概説は大変に役立った。それともうひとつ。
君:もうひとつ?
私:ガイドさんが、昨年に出版された本です、という事で「ハンケな島ことば(八丈島の日常会話)」松岡きの・風詠社、をお見せくださった。土産物屋にあったので購入した。

君:なるほどね。他には?
私:ホテルに読書室があり、あれこれ書籍があった。金田章宏先生の書籍もあり、貪るように読んだが、正直申し上げると理解が難しかった。
君:他に書籍は?
私:名前は伏せさせていただくが、郷土史家や地元の教員の方々が出版しておられる。簡単にひと言で申し上げると、現在の島ことばはなんといっても目と鼻の先といってもよい静岡方言との近似性が高く、千葉の方言とも近似性が高く、古くは流人の島であり、九州からの流人も多く、全国の方言をブレンドしたような言葉が八丈方言という事のようだ。島の民謡は実は日本全国の民謡のオンパレードなんだよ。
君:へえ、ところで、八丈方言はユネスコ絶滅危惧言語ね。
私:島の人口が七千人。ただし今後も観光の島として続くでしょう。無人島にならない限り、島ことばが絶滅する事は無いね。
君:日本は広いので、まずは体力のあるうちに行きにくい所へ訪問するという作戦なのね。ほほほ

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